この記事は2022年6月3日に「月刊暗号資産」で公開された「米バイデン政権、マイニングによるエネルギー消費量・排出量削減に向けた政策提言を準備」を一部編集し、転載したものです。


バイデン政権1年の評価
(画像=PIXTA)

米バイデン政権が、暗号資産(仮想通貨)のマイニングによるエネルギー消費量および排出量を削減するための政策提言を準備していることがわかった。2日、Bloomberg Lawが報じた。

報道によると、この政策提言は8月には発表される予定だという。

ホワイトハウス科学技術政策室のエネルギー担当主席補佐官であるコスタ・サマラス(Costa Samaras:カーネギーメロン大学教授)氏が、Bloombergに対し「暗号資産が金融システムの一部となるのであれば、責任を持って開発し、炭素の総排出量を最小限に抑えることが重要となる。デジタル資産は気候やエネルギーについて考慮しなければならない」と述べたという。

これまでエネルギー省は暗号資産のエネルギー消費量について担当者を置いてこなかった。環境保護庁は特定の消費者や産業によるエネルギーの利用を制限していない。この問題に対して今まで策を講じてこなかったことに対し、一部の民主党議員から批判の声が上がっていた。

先月9日には、環境団体が科学技術政策室に対して書簡で「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)に依存するデジタル通貨に関連する電力使用と気候汚染を抑制するための政策の策定」を促していた。

サマラス氏は、「マイニングを行う上で、騒音や地域汚染、古い化石燃料の発電機がコミュニティで再稼働しているかどうか等について確認を進めたい」とコメント。続けて、「ビットコインを主とするプルーフ・オブ・ワークのコンセンサスメカニズムを使用する暗号資産は近年価格が急騰してきた。そのため大量のエネルギーを消費してきた。暗号資産はセキュリティが高いプルーフ・オブ・ワークとエネルギー消費量の少ないプルーフ・オブ・ステークの混雑した状態だ。適切な政策対応を考える必要がある」と述べたという。

昨年、中国における暗号資産規制の強化によって、同国の暗号資産マイナーは電気代の安い国・地域へと分散された。米国はその影響で中国に代わりビットコインマイニングシェアで1位になるなど、新規マイナーが増加している状況だ。

これに伴って消費電力量が増加し、電気代の底上げにつながっていると指摘する声もある。カリフォルニア大学の研究チームの調査によると、マイニングを行う地域では、電気代が家庭で毎月約8ドル、中小企業規模で12ドルも高くなっているという。(提供:月刊暗号資産