最近話題の無添加住宅とは?注目を集める理由とデメリットについても解説
(画像=Vojkan M/stock.adobe.com)

SDGsやESG投資など、世界レベルで環境意識が高まるなか、家づくりにも環境配慮の波が押し寄せています。脱炭素を目指す家や光熱費ゼロを目指す家など具体的な方法はさまざまですが、今回紹介するのは無添加住宅です。

化学的な材料や環境負荷、人体への悪影響が懸念される材料を使用せず、伝統的な材料や工法を用いることで健康的かつ環境負荷の低い家づくりを目指すのが無添加住宅ですが、そこにはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。これから無添加住宅を建てたいと検討されている方に向けて、無添加住宅の基礎知識をお届けしたいと思います。

目次

  1. 最近注目を集めている無添加住宅とは?
  2. 無添加住宅が注目を集めている3つの理由
  3. 無添加住宅のデメリットも知っておこう
  4. 無添加住宅にありがちな疑問と不安にお答え
  5. まとめ

最近注目を集めている無添加住宅とは?

無添加住宅とは、天然由来の素材だけで建てられた家のことです。材料だけでなく工法についても伝統的な技術を用いることで「昔の家づくり」を再現していると考えるとイメージしやすいと思います。

近代的な家づくりの工法といえば耐力面材を使用した「木造2x4」や「パネル工法」などが一般的ですが、これらの工法では使用する耐力面材に多くの化学物質が使用されているため、こういった建材ではなく伝統的な方法で製作された建材を使用します。

築年数が100年を超えるような古民家が今もなおしっかりと建っている事実を考えると、伝統的な工法であっても長期間使用できる家を作ることは十分可能であることがわかります。無添加住宅はそんな時代の家づくりに原点回帰をして、人と環境に優しい家であることが最大の特徴です。こうした考え方に共感する人たちによって支持されており、無添加住宅に専門的に取り組む業者もあります。

無添加住宅が注目を集めている3つの理由

近年になって無添加住宅は大きく注目を集めるようになりましたが、その理由として考えられることは3つあります。

①環境意識の高まり

地球環境保全への意識が世界的に高まっています。その背景には異常気象や地球温暖化が及ぼす生態系への影響など人類の存立を脅かすような事象が世界の各地で起きている事実があります。地球規模で環境を保全する必要があることを受けてSDGsやESG投資などの考え方が大きな潮流となり、それが一般消費者にも浸透しつつあります。

家づくりにおける環境保全でできることを考えると、無添加住宅は有効な選択肢です。

②シックハウス、アレルギー対策

家づくりに使用される建材には多くの化学物質が使用されています。この化学物質が人の健康に悪影響を及ぼすことを、シックハウス症候群といいます。

住宅の高気密化などが進むに従って、建材等から発生する化学物質などによる室内空気汚染等と、それによる健康影響が指摘され、「シックハウス症候群」と呼ばれています。その症状は、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹など人によってさまざまです。

引用元:厚生労働省「シックハウス対策のページ」

シックハウス症候群や各種アレルギーなどへの意識が高まると、原因となる化学物質を使用していない家が注目されることになります。家族にシックハウス症候群を発症してしまう人がいる場合、無添加住宅は有効な選択肢というよりも必須のスペックとなります。

③自然が織りなす独特の風合い

古民家など古い家を好む人の多くは、自然を感じさせる独特の風合いを好みます。無添加住宅は今の時代に自然を感じることができる昔ながらの家づくりをすることなので、自然と一体化したような生活に憧れを持っている人にとってはとても魅力的です。

伝統的な工法で作られた家は長い時間が経っても劣化が少なく、適切なメンテナンスを続けることによってかなり長期間にわたって価値を維持することができます。そんな普遍的な価値をもつ家に魅力を感じる人が増えると、その関心は無添加住宅に向かうでしょう。

無添加住宅のデメリットも知っておこう

とても魅力の多い無添加住宅ですが、無添加住宅であるがゆえのデメリットもあります。ここでは2つの視点からデメリットについて解説します。

①コストが高くなる

一般的な家に化学物質を含む材料が多く使用されているのは、コストダウンや工期の短縮などの「性能」に優れているからです。これは科学技術の進歩による恩恵ですが、無添加住宅ではこうした建材を使用しないため、どうしても建築コストは高くなります。

化学処理されたコットンよりもオーガニックコットンが高いのと同様で、化学物質をあえて足さずに品質を維持するにお金がかかるということです。

②傷や汚れがつきやすい

無添加住宅に使用される建材は表面を化学的に処理していない無垢材なので、傷や汚れがつきやすいデメリットがあります。しかしながら、木は本来傷や汚れがつきやすい自然の素材であり、それも含めて独自の風合いを楽しめる人であればデメリットとは感じないかもしれません。

無添加住宅にありがちな疑問と不安にお答え

無添加住宅についてありがちな疑問に対して、1つずつお答えしたいと思います。同様の疑問をお持ちの方は、ここでその疑問を解決してください。

①夏は暑く、冬は寒い?

化学的な断熱材は性能に優れているので、それを使用しない無添加住宅は夏暑く、冬寒いのではないかと思われがちです。このデメリットについては、自然素材のなかで断熱効果が高いものを使用することで解決できます。炭化コルクやウッドファイバー、パーフェクトバリア(充填断熱材)などの建材はいずれも無添加住宅に使用できる自然由来の素材のなかで、断熱性能に優れたものです。

伝統的な断熱工法には柿渋や漆喰を使ったものもあります。これをうまく活用することで近代的な住宅と比べてもそん色のない断熱性能の高い家を作ることができます。

②地震に弱い?

大震災が起きると木造の家が倒壊している様子を目にすることがよくあります。そのため、木造建築である無添加住宅にも耐震強度の懸念を抱く人は多いかもしれません。

しかし実際には木造建築が地震に弱いわけではなく、むしろ木材は揺れに対して柔軟に対応できるため、木がもつ「しなやかさ」によって高い耐久性を発揮します。

それだけでは十分ではないと判断される場合、必要に応じて接合部に金物を使うことも可能です。耐力壁と呼ばれる面材を使う工法もありますが、もちろんこの場合であっても接着剤は自然由来の素材を使用します。

③防虫、防カビは大丈夫?

家づくりに使用する無垢材は切り出した木材をそのまま使用するのではなく、高温釜と冷凍による殺虫処理をしたうえで使用します。そのため最初から虫がいることはありません。また、建材に使用する炭化コルクは防虫効果が高く、特にダニに対して高い忌避効果を持っているため、ダニアレルギーが心配な人も安心して住むことができます。さらに漆喰は強アルカリ性なので高い殺菌効果を発揮し、高い防カビ性能も持ち合わせています。

これらはいずれも伝統的工法として古くから用いられてきた先人の知恵です。無添加住宅はこうした先人の知恵によって守られた家だといえるでしょう。

まとめ

家づくりの原点回帰といえる無添加住宅は、最新のテクノロジーに囲まれた現代の家とは対極にあるものです。しかし昔の無添加住宅である古民家のように価値が長らく失われることはなく、シックハウス症候群やアレルギーなどが心配な人も安心して住むことができる伝統的家屋です。

長く住めば済むほど価値を実感できるのが無添加住宅なので、長い目で家を楽しむことに価値を見出す人には理想的な家となるでしょう。

(提供:タツマガ

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