高気密住宅のメリット・デメリット!本当の意味を知り快適な住まいにしよう
(画像=Proxima Studio/stock.adobe.com)

夏に涼しく冬暖かい住まいになる高気密住宅。しかし言葉は聞いたことがあっても具体的にどんな住まいなのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。高気密住宅はメリットだけでなく、どうやって作るのかや注意点なども知っておくとより快適な住まいになります。

今回は高気密住宅を実現するためのポイントや、デメリットとその対策などについて詳しくお伝えします。

目次

  1. 高気密住宅のメリット
    1. 夏涼しく冬温かい
    2. 省エネになる
  2. 高断熱だけでは不十分
  3. 高気密住宅を作るために必要なこと
    1. 気密テープや発泡ウレタンでふさぐ
    2. 施工精度が大切
  4. 高気密住宅のデメリット
    1. 湿気がこもりやすい
    2. 壁内結露のリスク
  5. 高気密で大切な換気とは
    1. 高気密住宅は換気でも有利
  6. しっかり対策をすることで快適な住まいに

高気密住宅のメリット

高気密住宅とは、家の隙間をできるだけ少なくした住まいのことです。隙間のない家を作るには手間とコストがかかりますが、住む人にとって非常に大きな2つのメリットをもたらしてくれます。

夏涼しく冬温かい

高気密住宅は隙間が少ないため、外から夏の暑さや冬の寒さが入りにくくなります。熱は高いところから低いところへ移る性質を持つため、隙間が多いと夏の外の暑さが冷房している室内に入ってきてしまいます。「冷房をしているのに部屋がなかなか涼しくならない」という原因には、家の隙間が関係しているのかもしれません。

また隙間がたくさんあると、冬には暖房した暖かい空気が冷たい外へ出て行ってしまいます。隙間が多くて部屋が寒いというのは、昔の古い家だけでなく今の新しい住まいでも起きる可能性があるのです。

省エネになる

隙間が少なく暑すぎず寒すぎない家になれば、冷暖房の電気代がかからない省エネな住まいになります。夏にエアコンを動かしてもなかなか涼しくならなければ、設定温度をさらに低くしたり風量を強くしたりして多くの電気を使ってしまいます。

また冬になかなか部屋が温まらないと、暖房器具を増やしたり温度や風量を強めたりして、たくさんの電気代がかかってしまうでしょう。

しかし隙間が少なければ外から暑さ寒さが侵入せず、さらに冷暖房が外に逃げることも防げます。一年を通じて快適で省エネな住まいを作るなら、高気密住宅は必須なのです。

高断熱だけでは不十分

快適で電気代のかからない家と聞くと、「高断熱」という言葉を思い浮かべる方も多いでしょう。高断熱とは、外に面した壁の中に入っている断熱材を高性能なものにしたり、熱を遮る力の強い窓を使ったりして夏の暑さや冬の寒さの侵入を防ぐことを意味します。

例えば断熱材なら、泡状の硬質ウレタンを吹き付けて固めた「発泡断熱材」が、断熱性能が高くコストパフォーマンスにも優れています。また窓は1枚のガラスではなく2枚重ねたペアガラスにしたり、窓枠のアルミに樹脂のカバーを付けた「アルミ樹脂複合サッシ」を使ったりすると、熱の出入りを最小限にできます。

しかしこうした材料を使って高断熱な住まいにしても、隙間がたくさんあればそこから外の暑さ寒さが、家の中に入ってしまいます。快適で省エネな住まいは高断熱にするだけでなく、隙間の少ない高気密にすることで初めて実現できるのです。

高気密住宅を作るために必要なこと

では高気密住宅はどのようにして作られるのでしょうか。このポイントを知っておくと、高気密な家を作る住宅会社を見極めるのにも役立ちます。ここでは特に大切な2つのポイントを紹介します。

気密テープや発泡ウレタンでふさぐ

家の隙間を実際にふさぐには、家を作る最中に気密テープを隙間に貼ったり、発泡ウレタンを詰めたりします。具体的には壁や床の継ぎ目、窓まわり、床下から立ち上がっている水道の配管と床材の隙間、壁に通す換気扇やエアコンのダクトと壁との隙間など、細かな隙間を見つけ出しふさいでいきます。

こうした隙間をふさぐのは、かなり根気のいる作業になります。しかしこうした作業の労力を惜しまない住宅会社なら、その他の工事も丁寧に行ってくれることを期待できそうです。

施工精度が大切

高気密住宅を実現するには、ご紹介した気密テープなどの材料を使うだけでなく、隙間を確実にふさぐ高い施工精度が必要です。いくら隙間を見つけられても、雑にふさいでいては本当の高気密住宅にならないからです。

夏の暑さや寒さは空気とともに家の中に入ってきます。空気はわずかな隙間でも入ってくるため、精度の高い工事を行うことが重要なのです。本当の高気密住宅を作るには現場で確実な作業が行われ、きちんと仕上がっているかを管理できる住宅会社に頼むことがポイントになります。

高気密住宅のデメリット

メリットの多い高気密住宅ですが、一方で注意したいデメリットもあります。あらかじめ注意点を知りしっかり対策を取ることで、より快適な家づくりにつながります。

湿気がこもりやすい

高気密住宅は隙間が少ないため、湿気が家の中にこもりやすいという注意点があります。湿気がこもればカビが生えたり、窓に結露が起きやすくなったりします。さらに洗濯物を室内に干しても乾きにくくなり、部屋干しの嫌な臭いが付きやすくなってしまうでしょう。

また湿気はさまざまな匂いを取り込みやすく、湿度が高いと生活臭なども発生しやすくなります。気持ちよく過ごせる高気密住宅にするには、十分な湿気対策が取られた住まいを選ぶことが大切です。

壁内結露のリスク

湿気が家の中にこもるとさらに、壁の中に結露が発生する「壁内結露」のリスクも高まります。窓ガラスなど見えるところに発生する結露と違い、壁の中にできる結露は発見しにくく大きな被害につながる可能性があります。

壁内結露を放置していると壁の中でカビが生え、知らぬ間に健康被害にあってしまうかもしれません。さらに壁の中の柱などを腐らせ、大切な住まいの耐久性や耐震性を損なう恐れもあるでしょう。こうした湿気がこもる高気密住宅の弱点を解消するには、次にお伝えする換気が非常に大切になります。

高気密で大切な換気とは

高気密住宅で湿気がこもらないようにするには、しっかりとした換気システムを設けることが重要です。家の中が十分に換気されれば、湿気はもちろん汚れた空気や匂いなども外に吐き出されます。

現在は2003年に定められた改正建築基準法によって、2時間に1回、家の中と外の空気が入れ替わるような換気設備を、住まいに備えることが義務付けられています。そのためこれから新しく建てる家なら、ある程度は家の中の湿気対策が取られていることになります。

高気密住宅は換気でも有利

しかしこの換気の効果を十分に発揮させるには、高気密住宅であることが重要になります。換気システムは各部屋に空気の入口を設けてそこから新鮮な空気を取り入れ、浴室やトイレの換気扇などを使って家全体の空気を排気します。

ところが家に隙間が多いと、各部屋にある給気口から十分に新しい空気が入らず、設計した通りに家の中の湿気が吐き出されないのです。

今の新しい住まいは、湿気や汚れた空気、匂いなどを換気システムである程度解消することができます。しかしその効果を確実にするには、高気密住宅であることが前提になるのです。

しっかり対策をすることで快適な住まいに

高気密住宅は隙間から外の暑さや寒さが入りにくいため、一年を通して過ごしやすい住まいになります。さらに冷暖房をした空気が外へ逃げにくいおかげで、電気代などが抑えられるというメリットもあります。

また、断熱材や窓を高性能にした高断熱住宅と組み合わせれば、さらに快適な住まいになるでしょう。丁寧に隙間をふさぐ工事を行い、湿気を逃がす換気システムを装備した住まいを選んで、快適な高気密住宅を実現してください。

(提供:タツマガ

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