家の塩害を防ぐための7つの対策!海沿いの住宅を守るための知識
(画像=hanohiki/stock.adobe.com)

塩害とは、潮風に含まれる飛来塩分などの影響で農作物の収穫に悪影響が出たり機械や家が傷んだりしてしまう現象のことです。本記事では、家の塩害対策となる外壁や塗料、ドアなど計7つの項目を紹介します。新築住宅を建てたい人やリフォームをしたい人をはじめ沿岸部に住む人に参考になる情報です。

目次

  1. 塩害対策は、海岸からどれくらいの距離に住んでいると必要?
  2. 塩害被害を放置すると、家はどうなる?
  3. 家や住宅設備の塩害を抑えるための7つの対策
    1. 対策1.塩害で腐食しにくい外壁にする
    2. 対策2.塩害に効果的な塗装方法・塗料の種類を選ぶ
    3. 対策3.塩害で腐食しにくいドアにする
    4. 対策4.ひび割れを補修する
    5. 対策5.塩害対策のエアコン室外機にする
    6. 対策6. 塩害対策のエコキュートや灯油タンクにする
    7. 対策7.家や住宅設備を水洗いする
  4. 「サビを見つけたら即塩害対策」の徹底を

塩害対策は、海岸からどれくらいの距離に住んでいると必要?

海沿いの家に住んでいると潮風の影響で塩害を受けやすい傾向です。しかし具体的に海からどれくらいの距離が塩害対策の目安となるのでしょうか。一般的には「塩害地域の目安は海岸から2キロメートル以内」と解説されることが多い傾向です。しかし厳密には、住んでいるエリアや環境によって距離の目安が大きく変わってきます。

国土交通省の資料をもとにすると塩害対策の目安は、以下の通りです。沖縄離島は、全域が塩害の対象のため、注意しましょう。

エリア 海岸からの距離
北海道・東北(日本海側) 7キロメートル以内
北海道・東北(太平洋側) 2キロメートル以内
東海・近畿・中国・四国・九州
(瀬戸内海沿岸を除く)
2キロメートル以内
瀬戸内海沿岸 1キロメートル以内
沖縄離島 全域 2キロメートル以内

引用:建設省(現 国土交通省)土木研究所「飛来塩分量全国調査」
参照:三菱電機公式サイト

また住んでいる立地環境によっても塩害の影響が変わってきます。例えば海岸からある程度離れた内陸部でも海と家の間に高い建物が一切なければ塩害の影響が大きい可能性があるため、注意が必要です。

塩害被害を放置すると、家はどうなる?

家の塩害被害を放置すると最終的に大規模リフォームが必要になったり建て替えが早まったりするため、多額のコストがかかりかねません。例えば外壁のサビに気づいた段階で塩害対策をすれば塗り直しだけで済みます。しかしサビを放置すれば外壁材に穴が開いて交換の必要が出てきたり、さらに放置して構造に悪影響が出れば大規模リフォームに迫られたりするかもしれません。

だからこそ早めの塩害対策を意識することが大切です。対策を講じることで最小限のコストに抑えられます。

家や住宅設備の塩害を抑えるための7つの対策

一口に家や住宅設備の塩害対策といっても新築やリフォーム、日常生活など状態によって選択肢が変わってきます。ここでは、7つの塩害対策を紹介しますが、状況に応じて必要な対策を行ってください。

状況 選択すべき塩害対策
新築 対策1、3、5、6
リフォーム 対策2、3、4、5、6
日常生活 対策7

対策1.塩害で腐食しにくい外壁にする

これから住宅を新築する人であれば塩害に強いタイプの外壁を採用するのが有効です。外壁は、外観面積の大半を占めるため、腐食すると家の印象が悪くなってしまいます。塩害に強い外壁の一例がLIXILグループの旭トステム外装株式会社が推進する海外でスタンダードとなっている樹脂サイディングです。

同社では、食塩水に外壁材を4日間つけても腐食が見られない試験結果などを示し「樹脂サイディングは塩害で腐食したりサビたりしない」と紹介しています。

対策2.塩害に効果的な塗装方法・塗料の種類を選ぶ

リフォームによって塩害対策をしたい人は、塩害に効果的な塗装を選ぶとよいでしょう。住宅の鉄部分をサビにくくする塗装で塩害を緩和することが期待できます。大手ペンキメーカーの日本ペイント株式会社の解説を参考にすると塩害専用のペンキはないものの以下の塗装方法や塗料の種類が有効です。

  1. 塗装前にサビや劣化した塗膜を丁寧に取り除く
  2. 防サビ能力に優れた変性エポキシ樹脂サビ止めペイントを使う
  3. 2回塗りなど上記の塗料を厚めに塗装する
  4. 耐候性に優れた上塗り塗料で仕上げる

外壁の塗り直しは、大半の人が塗装業者に依頼するのが一般的です。そのため塩害対策に詳しい業者に相談したうえで具体的にどのような塗装方法・塗料の種類にするのかヒアリングしてみましょう。

対策3.塩害で腐食しにくいドアにする

せっかく塩害対策の外壁を採用しても玄関ドアが塩害で腐食してしまえば家のイメージが悪くなります。イメージ低下を防ぐため、塩害対策の玄関ドアを採用するのも一案です。例えばYKK AP株式会社では、耐塩害仕様のドアを用意しています。これは、扉表面材や丁番などに耐食性能のあるステンレスを採用したものです。

あわせて鍵を入れる錠前部分も腐食を抑える焼き付け塗装仕上げを施しています。

対策4.ひび割れを補修する

家のコンクリート部分にひび割れが見られるときは、早急に補修することをおすすめします。なぜなら潮風などに含まれる飛来塩分がひび割れ箇所からコンクリート内部に入り鉄筋をサビさせて構造を弱体化する恐れがあるからです。またひび割れがなくてもコンクリート表面に付いた塩分が内部に浸透することで鉄筋をサビさせ、それが原因でひび割れが起こる可能性もあります。

ひび割れの主な塩害対策方法は、以下の2つです。

  • エポキシ樹脂を注入して割れ目をふさぐ
  • コンクリートに電流を流して脱塩してから割れ目をふさぐ など

塩害対策に強い業者に内部の状態を確認してもらったうえでどの方法を選択するかを決めましょう。

対策5.塩害対策のエアコン室外機にする

住宅設備のなかでも特にエアコン室外機は、塩害に要注意です。室外機は、潮風にあたる屋外に設置されるにもかかわらず空気の出し入れをするためカバーで完全に覆うことができません。エアコン室外機の塩害対策としては「潮風の直接あたらない場所に置く」「耐塩害仕様の室外機を設置する」といった方法があります。例えばパナソニック株式会社の耐塩害仕様エアコン室外機の特徴は、次の2つです。

  • 耐食性のあるネジやボルトを使用
  • プリント基板はシリコンコーティング剤を塗布

ただし塩害対策のエアコン室外機といってもまったくサビないわけではありません。同社では、潮風にあたらないところや室外機が建物の影になる場所などへの設置を推奨しています。

対策6. 塩害対策のエコキュートや灯油タンクにする

塩害被害を受けやすい住宅設備には、屋外に設置することの多いエコキュートや灯油タンクなどもあります。それぞれに耐塩害仕様のものが用意されているため、塩害対策をしたい人は検討しましょう。例えば三菱エコキュートの場合、用意する全機種を耐塩害仕様にすることができます。ただし耐塩害仕様のエコキュートは、受注生産となるため、納品までに数ヵ月が必要です。

対策7.家や住宅設備を水洗いする

家の外壁や屋外に設置してある住宅設備を定期的に洗浄することも塩害対策の一つです。ブラシで洗い流すほかに家庭用の高圧洗浄機を使ったり専門業者に依頼したりするなどの選択肢があります。塩害のレベルに合わせて適切に選択しましょう。

「サビを見つけたら即塩害対策」の徹底を

本記事では、家や住宅設備の傷みを抑えるための塩害対策として次の7項目について解説してきました。

  1. 塩害で腐食しにくい外壁にする
  2. 塩害に効果的な塗装方法・塗料の種類を選ぶ
  3. 塩害で腐食しにくいドアにする
  4. ひび割れを補修する
  5. 塩害対策のエアコン室外機にする
  6. 塩害対策のエコキュートや灯油タンクにする
  7. 家や住宅設備を水洗いする

塩害対策で実行できることはたくさんあります。塩害被害の程度や新築・リフォームなどの状況に合わせて適切なものを選んでください。塩害対策で最も重要なのは、塩害がはじまる前段階または初期段階で対策をすることです。外壁や住宅設備などの腐食が進んでから塩害対策をしてもそれらを元に戻すことはできません。

塩害被害は「サビが目立たないからまだいいか」と思っているうちにあっという間に腐食が進むこともありえます。だからこそ「サビを見つけたら即塩害対策」を徹底しましょう。

(提供:タツマガ

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