駐車場のない注文住宅を実現する「カーシェア」とは
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2020年以降の経済情勢の悪化に伴い若年層を中心に車離れが進んでおり、車を買う時代から借りる時代へトレンドが変化しつつあります。そこで注目したいのが、カーシェア(カーシェアリング)です。カーシェアには、どのようなメリットがあるのでしょうか。本稿では、カーシェアのメリットや駐車スペースを趣味など別の用途に使う駐車場のない注文住宅について考えます。

目次

  1. 若年層の車離れが進んでいる
  2. カーシェアとはどのような仕組みか
  3. カーシェアのメリット
    1. 24時間365日利用できる
    2. 車の購入代金や車検費用などがかからない
    3. ほとんどの車にカーナビやETCシステムが付いている
    4. 自宅に駐車場を持つ必要がない
  4. 駐車スペースの活用方法
    1. ガレージ倉庫
    2. 自転車・バイクの車庫
    3. アトリエ
    4. 楽器練習場
    5. シアタールーム
  5. 駐車場のない注文住宅で実現する豊かなライフスタイル

若年層の車離れが進んでいる

近年、若年層の車離れが進んでいるといわれています。総務省統計局の「消費動向調査/令和4年3月調査」によると年齢階層別の乗用車全普及率が30~60歳代のすべての年齢層で80%超でした。しかし29歳以下の若年層は、73.7%と10%前後普及率が低くなっています。若年層の収入が少ないという理由も考えられますが、車を持たずレンタカーやカーシェアを利用している可能性もあるでしょう。

70歳以上の72.4%に関しては、高齢で免許を返上する人が増えるための減少と予想できます。

世帯主の年齢階層 乗用車普及率
29歳以下 73.7%
30~39歳 82.1%
40~49歳 83.8%
50~59歳 84.7%
60~69歳 84.9%
70歳以上 72.4%

(出典:総務省統計局「消費動向調査/令和4年3月調査」)

カーシェアとはどのような仕組みか

カーシェアは、会員同士で車を共同使用する仕組みです。カーシェアを利用するには、会員登録が必要となり、月会費がかかります。利用したい場合は、インターネットで予約をして車が置いてあるカーシェアリングステーションまで出向くことが必要です。使用後は、レンタカーと異なり乗り捨てすることができません。ステーションに返却が必要となる点は、押さえておきましょう。

利用にあたっては、提供されるサービスによっても異なりますが、一般的に15分単位で利用料金がかかり距離料金が加算される場合もあります。例えば病院の送迎に30分、10キロメートル利用した場合を想定してみましょう。利用料金が15分あたり250円で1キロメートルあたり20円の契約であれば以下のように算出します。

・250円(15分あたりの料金)×2単位+20円(1キロメートルあたり)×10キロメートル=700円

レンタカーサービスの利用は、6時間や12時間などの単位が多い傾向です。例えばAレンタカーの場合、軽自動車の6時間までの利用料金は5,390円(税込み)かかります。そのため30分や1時間など短時間の利用ならカーシェアのほうが割安です。
※利用料金や利用時間は一例ですので、参考程度にお考えください。

カーシェアのメリット

車を持たずにカーシェアを利用している人は、どのようなポイントに注目し始めたのでしょうか。カーシェアには、主に以下の4つのメリットがあります。

24時間365日利用できる

カーシェアの大きな魅力は、24時間365日好きな時間に車を利用・返却できることです。レンタカー営業所の場合、一定の営業時間がありますがカーシェアはいつでも利用することができます。そのため自分の車を持っているのと変わらないぐらいの機動性が期待できるでしょう。

車の購入代金や車検費用などがかからない

カーシェアは、車購入時のようにまとまった資金が必要ないことも大きなメリットです。例えばマイカーローンで購入した場合は、まとまった資金がなくても購入できますが毎月のローン返済や保険料、新車登録から3年目以降2年ごとにかかる車検費用などの負担はあります。カーシェアの場合、ランニングコストとなる費用がないため、負担が少なく気軽に車が使える点は魅力です。

ほとんどの車にカーナビやETCシステムが付いている

全国展開のカーシェアサービスであれば旅行先や出張先でも利用することができます。多くの車にカーナビやETCシステムが付いているため、慣れない土地の運転でも道に迷わず利用することが可能です。自家用車なら自己負担で搭載しなければならないことを考えるとお得といえます。

自宅に駐車場を持つ必要がない

カーシェアは、指定されたカーシェアステーションへ車を取りに行くため、自宅に駐車場を持つ必要がありません。自宅に駐車場を設置する場合は、主に以下の3つのタイプがあります。

  • 屋根なしの青空駐車型
  • 屋根付き駐車型
  • シャッター付きガレージ型

しかしカーシェアを利用すれば駐車スペースを別の用途に使うことが可能です。

駐車スペースの活用方法

車を保有せずにカーシェアを利用する場合、本来駐車場にするはずだったスペースを別の用途で活用できる点は大きなメリットです。しかしなんらかの事情で車を持つ必要が生じる可能性もあるでしょう。そのため駐車場に転用しやすい以下のような活用方法を検討してみてはいかがでしょうか。

ガレージ倉庫

家族の人数に比例して物が増えていくのは、多くの家庭で共通した課題の一つです。ガレージ倉庫にすればたくさん物を収納できるため、家の中をすっきりさせることができるでしょう。万一駐車場に転用する場合は、棚に乗せたり別の部屋に移動させたりすれば車を駐車できます。

自転車・バイクの車庫

家族4人で自転車を持っていればそれなりの駐輪スペースが必要です。またバイクを持つ家庭もあるでしょう。シャッター付きガレージに自転車やバイクを収納すれば雨に打たれたり盗難に遭ったりする心配もありません。ガレージの壁面を棚にすれば荷物置場としても使用できます。

アトリエ

絵を描くのが趣味な人にとって自分のアトリエを持つことはあこがれでしょう。アトリエは、必要な設備がキャンバスだけなので倉庫を兼ねたスペースにすれば号数の大きい絵も保管することができます。居室では、絵の具による汚れや臭いが付くことが心配ですがガレージスペースをアトリエにすればその心配もいりません。

楽器練習場

ピアノやギターを1人で練習するのは、普通の部屋でもできます。しかしドラムも含めたバンド編成となると普通の部屋では騒音で家族の迷惑になることが心配です。ガレージスペースを練習場にすれば家族のことを気にしないで練習でき、シャッターを下ろせば防音にもなるでしょう。

シアタールーム

ガレージスペースをあえてシアタールームにするのも面白いかもしれません。床がタイル貼りであっても椅子に座って鑑賞するので問題ないでしょう。また居室とは別のガレージスペースに設置すれば映画館に出かけるような感覚を味わうことができます。カラオケルームとしても利用できるため、家族で楽しめるスペースになるでしょう。

他にもアイディア次第で活用方法はあるのでハウスメーカーの設計士と相談しながらプランを立てるのもよいでしょう。

駐車場のない注文住宅で実現する豊かなライフスタイル

駐車場が付くことが当たり前だった注文住宅からカーシェアで駐車場を持たないライフスタイルへ変化しつつあります。2020年以降の社会情勢の変化を受けて多くの人の価値観が変化し物を持たない生活が見直されているのです。毎月数万円のローンを支払って、車を持つよりも家族で外食に出かけたり趣味にお金を充てたりして精神的に豊かな生活を送りたいと思う家庭も増えることが予測されます。

車は、カーシェアやレンタカーで必要なとき利用すればよいという考え方です。「これから車を持たない住まいを実現したい」とイメージしている場合は、注文住宅が最適です。建売住宅では、万人受けを狙って多くの物件に駐車場が付いています。入り口横に駐車場があるスタイルでは、他の用途に使うにも用途が限られてしまうでしょう。

注文住宅ならシャッターまたは開閉パネル付きガレージにすることで先述したような倉庫や趣味のスペースにすることができます。万一子どもが大きくなって自分の車を持ちたい場合は、すぐに駐車場に転用できるので便利です。コロナや戦争など国内外を問わず不安定な情勢が今後も続く可能性があります。

維持費が大きい自家用車をカーシェアに替えて家族のために使えるお金を増やすことも有効な方法の一つです。注文住宅でカーシェアを利用した豊かなライフスタイルを目指すのは、これからの時代に合っているのではないでしょうか。

(提供:タツマガ

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