この記事は2022年6月10日に「月刊暗号資産」で公開された「ビットコイン、軟調に推移 重要視される米CPIの発表間近」を一部編集し、転載したものです。
10日の暗号資産(仮想通貨)市場は軟調な推移を見せている。ビットコイン(BTC)は狭いレンジで推移しているものの、一時400万円を割るなど上値は重い。また、アルトコインにおいてもイーサリアム(ETH)をはじめ、主要銘柄の動きは鈍い状況だ。
その中でもポリゴン(MATIC)が約6 %、テゾス(XTZ)が約7%、チェーンリンク(LINK)が約8%上昇するなど、ポジティブな要因が浮上した特定銘柄には買いが広がっている。
全体的に見た際には膠着状態が続く暗号資産市場だが、動きを鈍くしている要因としては、日本時間10日21時半頃に発表される予定の消費者物価指数(CPI)の存在が挙げられる。
インフレ懸念が一層強まる中、市場予測は前回発表と横ばい、もしくは少々改善される見通しとなっているものの、結果次第では金融引き締めが加速する可能性もあり、警戒は続く。
現地時間9日の米株式市場ではインフレの長期化を警戒した売りが先行。ダウ平均は前日比638ドル(1.94%)安の3,2272.79ドル、またハイテク株が集まるナスダックは332.04ポイント(2.75)安の11,754.23と、大幅下落で取引を終えている。
さらに、欧州中央銀行(ECB)が9日に政策金利を0.25%引き上げる方針を固めたことも売りを加速させた格好だ。欧州中銀による利上げは実に11年ぶりとなる。併せて、7月1日に量的緩和政策を終了することも決めた。こうした状況から、欧州における景気後退が強まる可能性も指摘されている。
投資家間では各国による金融引き締めが今後さらに加速し、世界的な景気後退につながるとの懸念もあることから、今晩の米CPIの発表は非常に重要な意味合いを持つ。
一方、日本においては日銀の黒田東彦総裁が金融緩和政策を継続する意向を示している。こうした状況から、円安ドル高は進み、今週は一時約20年ぶりとなる134円台に突入した。
記事執筆時点では133円80銭前後を推移しているものの、欧米各国における金融政策の動きとの相違が続けば、さらなる円安進行も考えられる。
リスクオフの流れが強まれば暗号資産市場においても同様に売りが先行することも考えられる。特に暗号資産のボラティリティは高く、さらには現状、米株式市場などに依存する動きが続いているため、経済指標の発表等には十分警戒する必要があるだろう。(提供:月刊暗号資産)