日本でもインフレ圧力が強まっている。今後のさらなる物価上昇やインフレの長期化に備えて、個人投資家には戦略の見直しが求められる。2022年のインフレ要因、インフレに強い株の特徴、具体的な12銘柄を紹介し、インフレと株の関係を解説する。

目次

  1. 強まるインフレ圧力、デフレマインドに変化の兆し?
  2. インフレとデフレ。発生の仕組みとメリット・デメリット
  3. デフレとは? デフレはなぜ発生するの? その仕組みとは
  4. 投資家として知っておきたい、2022年の日本のインフレに深く関わる3つの要因
  5. インフレ時の投資戦略 インフレに強い株の特徴とは? 
  6. インフレに強い株の特徴にあてはまる12銘柄
  7. まとめ:2022年上期のインフレは継続傾向か。インフレに強い銘柄に注目、研究したい

強まるインフレ圧力、デフレマインドに変化の兆し?

「インフレに強い株」の特徴とは? その条件にあてはまる12銘柄
(画像=carballo/stock.adobe.com)

2022年、世界的なインフレは大きな話題となっている。ここでは、本稿のはじめとして、日本におけるインフレ圧力を示すデータと、その影響により、消費者や個人投資家のマインドがどのように変わりつつあるかを確認してみよう。

値上げ食品は8,000品目超、ユニクロも1,000円値上げ

帝国データバンクの食品主要105社の調査によると、2022年中に値上げが決まっている商品は食品だけで 8,385品目(平均値上げ率12%)もある。これは同年5月19日段階のデータであり、今後、さらに値上げ品目が追加されるのは必至だ。帝国データバンクのレポートでは『秋口以降も「値上げラッシュ」は続く可能性がある』と警鐘を鳴らしている。

▽2022年の食品値上げ品目数/月別(2022年5月19日現在)

他業界でも、ユニクロがフリースやダウンジャケットなどを1,000円値上げ、鉄道各社が運賃値上げを発表しているなど、まさに値上げラッシュの様相だ。

インフレが消費者に与える影響

国内のインフレ基調が懸念され始めていた2022年4月段階でも、消費者の大半は、すでに物価上昇を肌で感じていた。株式会社mitorizの大手スーパー5社を利用する女性を対象にした調査では、「食品の値上げを感じるか」の問いに8割以上が「はい」と回答している。

消費者はスーパー売り場などでインフレを日々実感しやすいため、すでに行動変容も起きていた。同調査では、値上げを乗り切る工夫として以下のような声が聞かれた。

▽「食品の値上げに関する意識調査」による「値上げを乗り切る工夫」回答例

「ポイント付与が多い店を選んでいる(40代女性)」
「クーポンを使ったり、割引やお得な日の時に買い物をすることです(30代女性)」
「なるべく安い品物で献立を考える(50代女性)」

引用:mitoriz | 「食品の値上げに関する意識調査」

インフレが投資家に与える影響

インフレは投資家のマインドにも大きな影響を与えている。一例では、個人投資家で元財務官僚の石﨑徹氏は、「コロナ断捨離とインフレが新たな需要と供給を生み出す」(引用:にいがた経済新聞 2022 年5月9日付)とした上で、インフレによって需要が高まるテーマとして「終活」「生活防衛」「リユース」「ストレージ」などを挙げている。

【参考】 NIKEIオプエド | 億り人を超える投資コラム第5回~「生活防衛」せずして億り人ならず~(個人投資家 元財務官僚・元衆議院議員 石﨑徹)

SNS上では、個人投資家のインフレ対応策についてのコメントが目立ってきた。例えば、元芸人の個人投資家として知られる井村俊哉氏は、ツイッター上で「不動産セクターに刮目」と述べるなど、インフレに強いと言われる不動産に言及するシーンが目立ってきた。

【参考】 Twitter | 井村俊哉 日本株投資家 | α探してます

インフレとデフレ。発生の仕組みとメリット・デメリット

インフレに適切な対応をしていくために、インフレの仕組みやメリット・デメリットをあらためて整理してみたい。対極の経済現象であるデフレも含めて解説する。

インフレとは? インフレになる仕組みとは?

インフレとは、物価が継続的に上昇していく現象だ。「供給<需要」の好景気モードである。

健全な良いインフレをつくるのは、大半の消費者の「これから先、モノやサービスの価格が上昇するだろう」という期待感だ。それならいまのうちに消費したほうがよいと大勢が考え、積極的に消費することで企業が儲かる。それによって、従業員の賃金が上がり、経済活動の拡大につながれば、インフレの好循環サイクルになる。

よくインフレ時には、金利が上がりやすいと言われる。これはインフレ抑制の目的で、中央銀行が金融引き締めを行うことが多いからだ。物価上昇率が高まってきたとき、中央銀行は保有資産を減らしたり、預金準備率を増やしたりする。こういったインフレ抑制のメニューの1つが政策金利の引き上げだ。

インフレには、下記に列挙するようなメリットとデメリットがある。これも銘柄選びの参考情報として、大事なポイントだ。

インフレのメリット1:企業業績の向上

インフレの期待感で需要が高まれば、企業の売上・利益が出やすい。ただし、インフレ時はコスト高になりやすいため、これを価格にしっかり反映できることが前提だ。

インフレのメリット2:賃金の上昇

企業が儲かれば、従業員の賃金上昇も起こりやすい。需要が高まっているインフレ下では企業は積極的に人材を獲得するため、これも賃金上昇の要因になりやすい。

インフレのメリット3: 経済活性化の好循環

企業と従業員が潤えば、消費が活性化し、自営業者などにもお金が循環していく。その流れがさらなる需要を生み出し、継続的な物価上昇、好景気につながっていく。

続いてはインフレのデメリットも見てみる。

インフレのデメリット1:お金の価値が減る

インフレの物価上昇では、お金の価値が相対的に下がる。持っているお金の額面は変わらなくても、物価が上昇した結果、買えるモノや量が減ってしまう。現金だけでなく、長期の定期預金の価値も目減りする。

インフレのデメリット2:スタグフレーションの可能性がある

スタグフレーション(悪いインフレ)は、景気が後退局面なのに物価上昇が起こる現象である。エネルギーや原材料の高騰から始まるような発生パターンが考えられる。

デフレとは? デフレはなぜ発生するの? その仕組みとは

次に、インフレと真逆の現象であるデフレ(デフレーション)について見ていこう。

デフレとは、継続的に物価が下落していく現象だ。「供給>需要」の不景気モードである。大半の消費者の「これから先、モノやサービスの価格が下降するだろう」という警戒感から買い控えが起こる。

一般にネガティブに取り上げられがちなデフレにも、下記に列挙するようにメリットとデメリットの両方がある。

デフレのメリット1:低金利で借入れがしやすい

デフレになると景気を刺激するため、金融緩和が行われる。そのメニューの1つに金利引き下げがあり、低金利になると事業資金や住宅ローンなどが借りやすくなる。

デフレのメリット2:お金の価値が上がる

デフレでは需要が減退し、モノやサービスの価格が下がるため、相対的にお金の価値が上がる。現預金を多く所有している人や企業にとって、デフレはメリットになる。

デフレのメリット3:大型減税や財政支出拡大の恩恵がある

デフレ下では、景気を刺激したり、人や企業の経済的な救済をするため、政府が大型減税や財政支出の拡大を行うことも多い。この恩恵を受ける人たちにとってはメリットとも言える。

続いては、デフレのデメリットも見ていく。

デフレのデメリット1:賃金が停滞、低下しやすい

デフレ下で需要が伸びなければ、売上は伸びず、従業員の賃金を抑える企業が増える。さらに支出を抑えるため、低賃金や非正規の人材を増やして対応しようとする。消費意欲は減退し、ますますモノは売れず商品の価格も下がるトレンドとなり、景気は冷え込む傾向がある。

デフレのデメリット2:貧富の格差が広がる

これは諸説あるが、デフレでは貧富の差が広がりやすいと言われる。理由の1つは、デフレによる賃金抑制の影響を受けやすいのは、単純労働をしている人や若い世代など、もともと低賃金の人だからだ。

デフレのデメリット3: デフレスパイラルに陥る可能性がある

デフレスパイラルとは、賃金低下で購買意欲が失われ、景気悪化に拍車がかかり、経済縮小が止まらない負の連鎖である。物価が下がり続けることで発生しやすいと言われる。

▽デフレスパイラルの実体経済への波及経路

投資家として知っておきたい、2022年の日本のインフレに深く関わる3つの要因

個人投資家が2022年下期以降に意識したいのは、今回のインフレは複数の要因が重なって起きているため、先が見通しにくいということだ。長期化する可能性もあり、要因をよく理解しておく必要がある。いまの日本のインフレと深く関わる3つの要因について整理してみよう。

2022年の日本のインフレ注目要因1:コロナ渦からの経済復活で需給バランスが崩れた

まず、コロナ渦からの経済復活の過程で、世界的にインフレ圧力が強まった。コロナ後の需要の高まりによる原油や原材料の高騰に加えて、グローバルなサプライチェーンの見直し、脱炭素を進めるための化石エネルギーの抑制なども、インフレを強める材料になった。

原油の高騰1つをとっても、チャートを見るとその凄まじさがわかる。以下のチャートは、NY原油(原油先物の指標)の直近約5年の推移である。2021年下期以降、原油の高騰が止まらない。

▽NY原油価格の推移(単位:ドル/バレル)

NY原油先物価格

2022年の日本のインフレ注目要因2:ウクライナ情勢で原油や食料の価格が上がった

ロシアによるウクライナ侵攻もインフレ加速の要因となった。理由はロシア、ウクライナ両国が世界の食料・エネルギー供給の一端を担っているからである。

・ロシアとインフレの関係
ロシアは世界3位の産油国であり、EUなどに天然ガスを提供する輸出国としても知られる。また、小麦においては世界最大の輸出国だ。資源では、クルマの排ガス浄化触媒に欠かせないパラジウムでは、世界産出量の約4割を担う。

世界の食料・エネルギーのキーマンとも言えるロシアに対して、主要国の大半が経済制裁を行ったことで、世界の原油・天然ガス・小麦などの市場価格が高騰した。

・ウクライナとインフレの関係
ウクライナは、小麦の世界5位の輸出国で、ヒマワリ油の輸出シェアで5割弱を占める。侵攻後、これらの輸出が困難になっていることが、市場価格を不安定にしている。

2022年の日本のインフレ注目要因3:円安の進行で、さらなるインフレ圧力も

日本ではインフレと共に、円安も進んでいる。円安になると、食料・エネルギーの大半を輸入に頼る日本では輸入コストが増大し、インフレ圧力の要因になる。今後、円安がさらに進んだり、円安が常態化したりすると、インフレはさらに加速し、家計にさらなる負担を強いることになりかねない。

ではなぜいま、円安が進んでいるのか。よく挙げられる理由は日米の金利差だが、今回の円安はインフレと同様、複数の要因が絡まっているようだ。この点についてソニーフィナンシャルグループ執行役員の尾河真樹氏は下記のように解説している。

▽2022年の円安の要因についての見解-尾河真樹 ソニーフィナンシャルグループ執行役員兼金融市場調査部長

目下の円安は、米国のインフレに伴う利上げ観測の高まりと長期金利の上昇、資源高に伴う日本の貿易赤字の拡大、そしてウクライナ危機で生じた「有事の円買い」が一服しつつあることなどが背景にある。

引用:日経ヴェリタス2022年3月27日号「止まらぬ円安 背景や影響、識者はこうみる」

商品を値上げせずに対応している企業の動向にも要注意

本稿の冒頭で紹介したように、主要な食品会社は食品価格の値上げを次々に発表している。一方、直近では値上げをしないことを発表したシャトレーゼやイオン(PB商品の大半の価格を据え置き)のような企業の存在も忘れてはならない。

長らくデフレが続いた日本では、インフレによるコスト上昇を価格に転嫁しきれていない企業も多いと推察される。これらの企業がインフレ圧力に耐えきれず値上げし始めたとき、国内の物価上昇が加速する可能性がある。

インフレ時の投資戦略 インフレに強い株の特徴とは? 

ここまでの内容から、2022年のインフレ解消は簡単ではないことをご理解いただけただろう。個人投資家は状況に柔軟に対応しながら、インフレ耐性のあるポートフォリオを検討・構築していく必要がある。

その際の基本は、インフレに強いと言われる資産に投資することだろう。加えて、今回のインフレは背景が複雑なため、先が見通しにくい。資産を守るため、分散投資の視点も必要になってくる。

インフレに強いのは、モノとしての価値がある実物資産

インフレに強いと言われる資産の代表は、実物資産と株式の一部である。主な実物資産は、不動産、金、高級時計、宝飾品などである。これらはモノとしての価値を有しているのでインフレに強い。

インフレに強いと言われる株の4つの特徴

インフレに対応するための株式投資のポイントは、インフレ耐性のある銘柄、インフレで売上・利益を伸ばしやすい銘柄を選ぶことだ。一般的にインフレに強いと言われる株(企業)の特徴は以下の通りだ。

・インフレに強い株の特徴1:資源・エネルギーに関わる企業

資源・エネルギー分野は、インフレ時において、まず市場価格が上昇する傾向がある。当然ながら、それを扱う企業の売上、利益が増加する。これがインフレに強い理由だ。具体的な銘柄として、油田・ガス田・鉱山などの権益を持つ企業をはじめ、資源ビジネスを展開する商社などが挙げられる。

・インフレに強い株の特徴2:値上げをしても顧客がついてくる企業

業種問わず、コスト上昇分を販売価格に反映させても、販売数や客数が落ちないタイプの企業もインフレに強い。具体的には、以下のようなタイプの銘柄だ。

▽販売価格が上昇しても売上が減少しない銘柄の傾向
・圧倒的なブランド力を誇る企業
・少々の値上げを気にしない富裕層が顧客の企業
・その分野を象徴する商品を持っている企業
・競合が少ない独占的な市場の企業 など

・インフレに強い株の特徴3:財務力のある企業

インフレ圧力の強まりやスタグフレーションなど、経済が不安定な環境では、財務力のある企業の株が注目されやすい。とくに長年に渡って高配当を続けているような企業は、投資家の信頼が厚い。

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・インフレに強い株の特徴4:金利上昇で利ザヤを稼ぎやすい金融関連の企業

インフレ圧力が強い局面では、金利の上昇が起こりやすい。高金利になると、金融関連の貸出金利と調達金利の差である利ザヤが増えやすいため、銀行、保険、ノンバンクなどの株はインフレに強いと言われる。

インフレに強い株の特徴にあてはまる12銘柄

前項では、インフレに強い株の特徴について解説した。さらに、これらの特徴にあてはまる12銘柄を紹介する。ここで取り上げた株が、必ずしも値上がりするわけでない点はご理解いただきたい。

インフレに強い銘柄例1:資源・エネルギー分野の企業

・INPEX、三井松島HD、三菱商事、三井物産

資源・エネルギー分野に着目するなら、候補銘柄としてINPEX(コード1605)は外せないだろう。

同社は、石油・天然ガスの埋蔵量・生産量規模で日本最大の開発企業である。世界20数カ国で石油・天然ガスの大規模プロジェクトを推進中。また、国内最大級の埋蔵量のガス田を保有している。原油や天然ガスの市場価格が上がれば、ダイレクトに売上・利益に好影響をもたらしやすい。

また、石炭価格も値上がりし続けているので、石炭と関わる銘柄も注目だ。下記の石炭先物のチャートを見ると分かるように2021年夏以降、急騰している。

▽石炭先物の価格推移

石炭関連の銘柄には、三井松島HD(1518)などがある。同社は、個人投資家の井村俊哉氏が大量保有したことで2021年下期に話題となった銘柄だ。ただし、先に示した石炭先物のチャートに現れているように、石炭のボラティリティはまさにジェットコースターのような状態なので投資判断は慎重にすべきだ。

総合商社も資源・エネルギー分野に深く関わる業種として挙げられる。とくにこの分野で強みを持つ総合商社と知られるのは、三菱商事(8058)三井物産(8031)などだ。両社は資源・エネルギーの上流権益を持っているため、原油・天然ガスの値上がりが好材料になりやすい。

インフレに強い銘柄例2:その分野を象徴する商品を持っている企業

・日清製粉グループ本社、日本ハム

インフレに強い株の特徴には、「その分野を象徴する商品を持っている銘柄」というものもあった。分かりやすく言えば、「***(商品名)と言ったら、この会社」とみんなに連想されるような企業である。

一例としては、「パスタと言ったら日清製粉グループ本社(2002)」「ソーセージと言ったら日本ハム(2282)」といった具合である。インフレ圧力が強まる中、食品業界全体で値上げをする企業が増えている流れも両社にとってプラス材料だろう。

参考までに、主力商品の値上げ発表後、両社の株価にどう動いたかをチェックしてみよう。

日本ハムは2021年12月1日に「シャウエッセン」を含む400品目以上の5~12%の値上げを発表。3,800円前後だった同社の株価はその後、2022年1月~2月頃には4,500円前後まで急伸した。
※ただし、記事執筆時の2022年6月10日時点では下落傾向

一方、日清製粉グループ本社は、2022年に4月に家庭用のパスタ・パスタソースの約2~8%値上げ(2022年8月納品分から)などを発表したが、株価の急伸は見られず、逆に2022年5月中旬~6月初旬で1,700円台から1,500円前後まで下落している。

こういった動きを見ると、この特徴に該当する企業が値上げを発表した際、株価が上がるかはケースバイケースである。このことを意識しながら、銘柄選別を進めたい。

インフレに強い銘柄例3:財務力プラス、インフレに強い要素のある企業

・任天堂、KDDI、三井不動産

インフレに強い株の特徴やテーマの1つは、財務力のある銘柄だった。ここでは、財務力プラス、インフレに強い他要素のある銘柄を列挙したい。なお、財務力の指標として、「東洋経済財務力ランキング(15回)」を参考にした。

【参考】東洋経済ONLINE | 「上場企業財務力ランキング」最新トップ300社

任天堂は、全業種を横断した総合ランキングで1位を獲得した。このランキングは、成長性、収益性、安全性、規模の4項目(各1,000点)で判定されているが、任天堂(7974)は3項目で1,000点満点である。

この財務の強固さに加えて、インフレに強い株の要素である「他社にはない商品を持っている」という特徴にもあてはまる。同社の主力商品「スイッチ」の価格が多少上がったところで、ファン離れは起きにくいだろう。

KDDI(9433)は財務力ランキング情報・通信業で1位、総合で12位だ。安全性と規模の2項目で1,000点満点を獲得している。直近では、通信事業は値下げがネックになっているものの、金利上昇がプラス材料になり得る金融業が好調だ。

三井不動産(8801)は、財務力ランキングの不動産業で1位、総合で31位である。同社では、商業施設やオフィスの開発・賃貸事業の他に、投資家への物件売却や国内住宅の分譲なども行っている。インフレによって、不動産価格の上昇基調が続けば、売上・利益に好影響をもたらす可能性がある。

インフレに強い銘柄例4:金利上昇で利ザヤを稼ぎやすい金融関連企業

・三菱UFJフィナンシャル・グループ、東京海上HD、SOMPOホールディングス

金融関連の株も、一般的に「インフレに強い」と言われる。ただし、一部の金融の専門家からは「金利上昇は銀行の業績に以前ほど影響しない」と指摘されており、株価推移や業績を見ながら投資判断をしよう。

メガバンク3社のうち今後、どの銘柄が有利かについては、様々な見方があるだろう。例えば、コンセンサス・レーティングで比較した場合、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)のスコアが高いとの結果である。

▽メガバンク3社のコンセンサス・レーティング比較

メガバンク比較
画像引用:楽天証券「銘柄比較」

保険会社も、金利上昇が有利に働きやすいと言われる。例えば、東京海上HD(8766)や SOMPOホールディングス(8630)は、2022年5月以降、株価が上昇傾向だ。さらにインフレ基調が強まったとき、どのような影響が出るか注視したい。

まとめ:2022年上期のインフレは継続傾向か。インフレに強い銘柄に注目、研究したい

本稿を通して、最もお伝えしたかったことは次の2点である。

・今回のインフレは様々な要因が重なって起きているため、先が見通しにくい。
・だからこそ、個人投資家はインフレ耐性のあるポートフォリオを検討・構築していく必要がある。

円預金やインフレ前に好調だった株などを惰性で保持していると資産が大きく目減りしかねない。インフレに強い資産を視野に入れることが大事だ。その手段の1つが株式投資である。ポイントは、インフレに強い株に絞ることだった。その特徴は次の4つだ。

▽インフレに強い株の特徴例

  1. 資源・エネルギーに関わる企業
  2. 値上げをしても顧客がついてくる企業
  3. 配当を出し続ける財務力のある企業
  4. 金利上昇で利ザヤを稼ぎやすい金融関連の企業

ただ上記は、あくまでも一般に言われているインフレに強い企業である。インフレによって売上・利益が伸びる可能性のある業界・企業を、それぞれの投資家が消費者の視点でチェックしていくことが大切だ。