労働時間以外にも注意点はたくさん

最近は「働き方」に注目が集まり、就職を希望する人が企業を選ぶ際にも、どんな労働環境なのかが大切な判断材料となる。すかいらーくホールディングスの例のように、こんな時代に、労務面で法律に反する状況を放置していたと報道されれば、優秀な人材から敬遠される懸念がある。

時給計算のための労働時間に関する規定以外にも、重要なルールは存在する。厚生労働省のウェブサイトによると、例えばパートタイマー(パート従業員)やアルバイト従業員には有給休暇がないと考えている経営者もいるが、一定の条件を満たせば年次有給休暇を取得する権利が発生する。

このことに関連して、1週間の所定労働時間が30時間未満の短時間労働者は、付与される日数がフルタイムの労働者とは異なる、といったことも知っておきたい。

また、混同しがちなのが「振替休日」と「代休」だ。振替休日は、元々休日と決まっていた日に労働し、その代わりに他の労働日を休日に当てることをいう。事前申請により、元々休日であった日が労働日になり、元々労働日であった日が休日になるということだ。この場合、実際に労働した日には休日の割増賃金が適用されない。

一方で代休は、休日労働が行われた場合、その代わりとして、その日以降の労働日を休日とする。そのため、休日に労働した分の割増賃金を支払う必要がある。

経営者はこのような労働時間や休日のルールに関する知識を多く知っていることに越したことはない。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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