アジア圏トップは韓国 次いで日本
アジア圏からは2ヵ国がトップ20入りした。日本は韓国に次いで、18位だった。
注視すべきは、30ヵ国中で住宅ローンの融資が伸びているのは、ニュージーランド、チェコ共和国、日本と韓国の4ヵ国のみという点だ。
主要国間で急速な利上げラッシュが見られる中、日本は金融緩和政策を堅持しており、政策金利はマイナス圏のままである。
これが住宅需要を押し上げるポジティブな要因の一つとなっていることは間違いないが、日本においても欧米のようにインフレが深刻化した場合、インフレ抑制を目的とする金融引き締めが必要であろう。ところが、日本にとって利上げは財政的負担が大きく、欧米のように潔く踏み切れないという大きな壁がある。
日米の金利差が拡大した現在、すでに急速な円安による輸入コストの増加が懸念されており、金利正常化とインフレの影響を見据えた早急な対応が必要だ。
その一方で、「リスク管理債権」が貸付金残高に占める比率が、コロナ禍で上昇していることが、住宅金融支援機構の調査から明らかになっている。この比率は2015年度の5.12%から2019年度には3.20%へと縮小したが、2020年度には3.48%へと上昇した。2021年度以降は返済遅延がさらに悪化することが予想される。
また、S&Pグローバルレーティングの報告書では、韓国における名目GDPに対する家計信用のリスクや家計債務の伸び率、住宅価格の上昇の速さが指摘されている。
リーマンショック再来の可能性は低い?
希望材料は「2008年のような崩壊が起こる可能性は低い」との見方が強いことだ。
金融機関が与信基準を引き締めていることや家計貯蓄が依然として堅調であること、多数の国で手頃な価格の住宅が依然として不足していることなどが、楽観視されている理由である。
とは言うものの、住宅価格の下落は家計の資産を損なうと同時に、世界経済に大きな影響を及ぼす。住宅価格高騰の抑制はインフレ対策で重要な部分である反面、住宅市場の減速が連鎖反応を生み出し、景気後退を加速させるシナリオも考えられる。
文・アレン・琴子(英国在住のフリーライター)