この記事は2022年7月12日に「月刊暗号資産」で公開された「ホワイトハウス、「CPI高水準予想」と異例のコメント ビットコイン様子うかがう展開」を一部編集し、転載したものです。
11日の米株式市場は大型グロース株が売られ、主要株価3指数は下落。7月のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.75%の利上げへの期待が高まり、ドルが主要法定通貨に対して上昇した。
円ドル相場では、1998年9月以来およそ24年ぶりの水準となる137円に突入している。高いインフレを示す数字や、企業決算の始まりに対する警戒を反映する動きとなった。インフレ指標や決算は経済がリセッション(景気後退)に向かっていることを示すため、懸念材料が増えていることから一時的に現金化を急ぐ機関投資家が増えている。
テスラやアップルなど大型ハイテクが売られたほか、TwitterもテスラCEOのイーロン・マスク氏が買収案を撤回したため11.3%の下落を見せた。Twitterはマスク氏に対し、法定闘争へ持ち込む姿勢を明らかにしている。
NYダウ平均は前日比164.31安(0.52%)の31173.84ドル、ナスダックは前日比262.71ポイント安(2.26%)の11372.60ポイント、S&P500は前日比44.95ポイント安(1.15%)の3854.43ポイントとなった。
日本時間13日夜にCPI(消費者物価指数)が発表されるが、ホワイトハウスは「CPIは非常に高い水準と予想される」と異例のコメントを発表した。このコメントを受け、結果的に金融引き締めへの懸念が強まり、マイナス材料となった格好だ。
中国上海では新型コロナウイルスにおけるオミクロン株の亜種「BA.5」の感染が拡大。同じくオミクロン株の亜種である「BA.2」の18.3倍の感染力があるとされていることから、世界的な感染拡大につながるとの見方が広まった。また、欧州における天然ガスの価格高騰が世界経済の減速に影響するとの懸念もあり、市場では警戒感が強まる。
暗号資産(仮想通貨)市場にもおいても影響がみられた。
ビットコイン(BTC)は2万1,000ドル(約288万円)台から1万9,000ドル(約260万円)台へと下落。イーサリアム(ETH)においても1,100ドル(約15万円)台から1,000ドル(約137万円)台へ下落するなど、市場全体で売りが加速した。
ビットコインは日足チャートでダブルボトム形成に失敗し、1度大底を試す可能性も出てきている。
暗号資産市場では、大手分散型取引所(DEX)のUniswap V3において、約6億円相当のイーサリアムが流出したことも影響した。なお、一部ユーザーがフィッシング被害に遭ったことによる事件のため、影響は最小限に留められたと言える。
また、暗号資産運用会社大手グレースケール(Grayscale)が、ビットコイン現物ETFの訴訟が1年から2年ほどかかる見通しを表明したことも悪材料となった。(提供:月刊暗号資産)