民間企業が全国版のサイト運営
補助金などの公的な情報の信頼性という意味では申請先である行政に勝るものはないのだが、ここには大きな落とし穴がある。いわゆる「行政の縦割り」により、他の官庁や自治体が管轄している制度が掲載されていないこともあるのだ。経営者自身が活用したい情報が明確ならそれでも構わないが、そもそも、どんな支援制度があるかを検索したい場合は適切とは言えない。
そこで紹介したいのが、株式会社補助金ポータルが運営するウェブサイト「補助金ポータル」だ。同サイトには、2022年7月3日時点で1万6,468件の補助金が登録されており、地域や利用目的を選ぶと、それに該当する制度を一覧で示してくれる。
例えば「東京都」は1,081件、「北海道」は936件、「経営改善・経営強化」は2,111件、「設備資金・運転資金」は1,538件となっている。キーワードを入力して調べる検索窓もあり、試しに地域を限定せず「コロナ」と打ち込むと6,889件が抽出された。ちなみに、補助金・助成金を検索するだけでなく、補助金の交付申請をサポートしてくれる専門家を探すこともできる。
商工会議所やよろず支援拠点を活用する方法も
ここまではウェブサイトでの検索方法を紹介してきたが、補助金の制度を知るには、商工会・商工会議所やよろず支援拠点を頼るという選択肢もある。
商工会や商工会議所は会員制の組織なので、非会員は相談に行けないだろうと思われがちだ。しかし、非会員であっても経営指導を受けることができ、コロナ禍においては、特に小売業や飲食・サービス業などからの、補助金や助成金をはじめとした支援策や資金繰りについての相談が例年より増加していた。
よろず支援拠点とは国が各都道府県に設置したワンストップ総合支援を目的とした経営相談所で、何度でも無料で相談できるという特徴がある。最初から専門家に経営相談をすると少なからず費用がかかるため、まずはよろず支援拠点の門をたたくのも良いかもしれない。
よろず支援拠点は、中小企業だけでなくNPO法人や一般社団法人、創業予定者などの層にも対応する。補助金・助成金などの紹介だけでなく経営全般の助言も行っているので、補助を受けた先の事業展開を含めた幅広い相談が可能となっている。ウェブサイトの活用の方が手軽かもしれないが、場合によっては、こうした支援機関の併用も検討してはいかがだろうか。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)