この記事は2022年7月13日に「月刊暗号資産」で公開された「金融安定理事会、国際的な暗号資産規制策定の必要性主張 今秋にもG20で提案へ」を一部編集し、転載したものです。
主要25か国・地域の中央銀行および金融監督当局等が参加する国際金融機関・金融安定理事会(FSB)は11日、暗号資産に関する国際的な規制や監督に対する声明を発表した。
この声明は、今年5月に価格崩壊に至ったステーブルコイン・TerraUSD(UST)のほか、それに関連してThree Arrows Capital(3AC)らが破産したことを念頭に置いたもので、国際的な共通の暗号資産規制に関する枠組みを策定する必要があるというものだ。
FSBは、暗号資産市場が急速に成長していると共に、構造的に脆弱性が表れていると述べ、さらには伝統的な金融システムとの相関性が非常に強くなってきているとう点において問題があると指摘した。さらには、今後ステーブルコインが決済手段として広く使われるようになった際、既存の金融システムにおいて重要な役割を担うようになるのであれば、各国当局の監督下に置き、規制すべきだと述べている。
その上で、ステーブルコインに適切な規制がない場合には伝統的な金融市場を含め、重大なリスクを引き起こす可能性があるため国際基準に適合する必要があると説明した。
暗号資産関連サービスを提供する事業者に対しても、事業を伴っている国・地域において法的義務を遵守すべきとし、今後事業を行う場合は、事業開始までに全ての規制、監督要件を満たす必要があるコメントするなど、改めて規制の重要性を強調した格好だ。
現在の暗号資産は投機的な用途で見られることが多く、その中でもほとんどの暗号資産は重大なリスクを防止するような金融規制の枠組みからは外れている状況であることを金融安定理事会は危惧している。そのため、暗号資産市場に参入する投資家に対し、暗号資産に関するリスクを再認識する必要があると警告した。
金融安定理事会はこれらを踏まえ、金融作業部会が定めるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)やトラベルルール等の導入が必要になると主張した。
金融安定理事会は今年10月に行われるG20財務相・中央銀行総裁会議において、ステーブルコインを含めた暗号資産に対する規制監督アプローチについて報告すると共に、グローバル基準を策定した具体的な提言策のレポートを提出する予定だとしている。(提供:月刊暗号資産)