本記事は、長友威一郎氏の著書『最強のナンバー2チームをつくれ! 会社を大きく成長させる、社員の強みを活かした人材育成』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています
目標達成のためにシナリオをつくる
ナンバー2チームのメンバーがそれぞれの強みや弱みを把握し、自分たちの目標を実現するためにまだ足りないもの、もしくは今備わっているものなどを明確にしたら、次は目標達成のための計画を立てます。「この目標をいつまでに達成するか。そのためには、こういうシナリオが必要になる」という計画をメンバー全員で練り、目標達成までの期限を逆算することで、シナリオができあがります。
この部分をしっかり築かないまま、「みんなでがんばろう!」と言っているだけでは、単なる夢物語で終わってしまいます。ナンバー2チームが掲げた目標を夢で終わらせず実現するためにも、この計画の部分はしっかり詰めていきましょう。
多くの会社では年1回の方針発表会があり、その方針について具体的にどう動き、いつまでに何をするかまで決める習慣もあると思います。それと同じような流れで、ナンバー2チームのメンバー全員で話し合いながら、自分たちが掲げた目標達成に向けたシナリオを練り上げていきます。
もし、会社の中にそういう習慣がない場合は、この習慣をつくるところから始めてください。目標達成のためのシナリオがなければ、どれだけ優秀な人材がナンバー2チームとして集まったとしても、成果を出すことはできません。
最終的には、ナンバー2チームがつくった目標達成のためのシナリオが、翌年もしくは翌々年には、会社の経営方針書などに反映されていくことが理想です。ナンバー2チームが実現していきたいことが会社の方針書や経営計画書に入ることで、現場の社員たちにもナンバー2チームが取り組んでいることがより伝わりやすくなります。ぜひここを目指して、チーム内での目標達成シナリオをつくっていきましょう。
ナンバー2メンバーに対するほかの社員の本音
実際にナンバー2チームが動き始めると、現場の社員たちが一番その動向を気にし始めます。世の中でもメディアが何か情報を発信するとエンドユーザーがざわつくように、会社でも上層部が何かを発信すると現場の社員がざわつくのです。
そんなときは、メンバーの中でも社員からの信頼が一番厚い「信頼さん」が、現場の社員たちから話を聞いて、ナンバー2チームに対する本音を拾っていくことをおすすめしています。
そうすると、本当にさまざまな意見が出てきます。現場の社員たちが何気なく発信したことが実は会社にとってはマイナスになることだったり、ナンバー2チームのメンバーたちにはそれが自分たちへの悪口に聞こえたりすることもあります。
現場の社員たちにとくに他意はないけれど、ナンバー2チームには批判のように聞こえてしまうこともあるので、双方に誤解を生まないためにも、現場の声は積極的に聞いていく必要があります。
また、現場の社員たちが間違った認識でナンバー2チームのことを捉えていたら、正していかなくてはなりません。そういう役割も「信頼さん」が上手に担ってくれるでしょう。
このようにして意識的に現場の情報がナンバー2チームに入ってくるようにしておけば、結果的に自分たちのエゴだけで動くことを未然に防げます。とくに「数字さん」と「影響さん」は、比較的現場の声を聞かずに突き進んでしまうところがあるので、そこは「信頼さん」が現場との間に入り、「管理さん」も一緒にそこを収めていくようにするのが理想の形です。
くれぐれもナンバー2チームだけで突っ走るのではなく、現場の声を聞くことも忘れないようにしてください。
チーム内でお互いに承認し合う場を設ける
目標達成に向けて走り出すと、ついおざなりになってしまいがちですが、定期的にお互いを承認する場を設けることも大切です。弊社では会議などをする場合、最初の10分はチェックインの場として使っています。ここでは、お互いのいいところを褒め合ったり、この1カ月間のよい行動を承認し合ったりします。この場を設けるだけでも、会議の場の空気が変わります。逆に、こういう場がないと、お互いの関係性がぎくしゃくしてくることもあるので注意が必要です。
とくにナンバー2チームのメンバーは弱みももっている人たちですから、強みが反映されていることをその場で再認識することが必要です。また、第三者からそのフィードバックをもらうことで枯れかけた意欲がよみがえることもあるので、チーム内で承認し合う場をもつことは意識的に行いたいものです。
ビジネスのためにナンバー2チームとして同じ目標をもっているとはいえ、お互いの弱みのつつき合いのようになってしまうと、だんだんとチームの歯車が狂っていきます。忙しいさなかでも互いを承認し合う、潤滑油的な場をもち続けてください。
チームメンバー内で化学反応を起こす
ナンバー2チームのリーダーは経営者ではありません。基本的には「信頼さん」にこのチームのまとめ役を担ってもらうのが理想ですが、各メンバーには、自省の念を常にもち続けてもらい、ナンバー2チームで掲げた目的や目標を実現するために、一人ひとりが「このチームのリーダーは自分だ」という自覚と責任感を持って動いてもらうことも大切です。そのうえで、メンバー同士の関わりを意識的に築いていくことがナンバー2チームの成長、ひいては会社の発展につながります。
そのためには、表面上だけうまくいかせるような取り繕った関係性は必要ありません。本音と本音をぶつけ合い、お互いの腹の中をとことん見せ合いながら化学反応を起こし、信頼に基づいた関係性を築いていくことが必要となります。
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