本記事は、長友威一郎氏の著書『最強のナンバー2チームをつくれ! 会社を大きく成長させる、社員の強みを活かした人材育成』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています
ナンバー2チームがうまく回らないときの改善策
組織論としては、その組織がうまくいっていないときは、一度動きをストップさせて、なぜそうなっているかを考える時間が必要です。
ナンバー2チームも一つの組織なので、うまく回っていないときは立ち止まる勇気が必要です。うまく回っていないときは、経営者が一度ストップの声をかけて、メンバーたちの手も足も止めて、一度原点に立ち返ることが大切になります。
うまく回っていないときでもズルズルと業務を行ってしまったり、何か違和感を覚えながら進めていったり、休んでいたメンバーに新しい社内の情報を伝え忘れ全員の共通認識が欠けたまま仕事を進めてしまったりと、大抵はこういうことが積み重なって、チームがうまく回らなくなっているからです。
そこで一度立ち止まって話し合い、チーム全体の現在地や目指すべきことについて再確認し、メンバーそれぞれが把握していないことをそこで洗い出して、全員で共通認識をもったところから、また再スタートする必要があります。
こうすることでゴールへの到着が遅れるかもしれませんし、納期までの期間がタイトになるかもしれません。けれども、みんなの足並みがそろったところから必ずスピードアップできますので、うまく回っていないときは立ち止まる勇気をもつよう指導してください。
このときの音頭取りは経営者が行います。当事者たちだけでは、うまく回っていないことがわかりませんし、誤解や勘違いを抱えたまま、それでよしとして業務を進めてしまいがちだからです。ここは経営者が「一度、確認をしておこうか」などと声をかけて、仕切り直しをするよう促しましょう。ここで誤解や勘違いを解消できれば、間違いなく業務はスムーズに進み始めます。
ただし、ここで経営者がやってはいけないことがあります。それは個別対応してしまうことです。これをすると、個別に対応してもらったメンバーは安心して走り出しますが、そのほかのメンバーが置いてきぼりになってしまいます。
個別対応をしてしまうと、せっかくナンバー2チームがそれぞれに責任を果たそうとしているところに、また経営者を頼ろうとしてしまうので、ここは個別ではなく、ぜひとも全員で集まって話し合う形で対応してください。
経営者の期待がナンバー2チームを大きくする
経営者はさまざまな期待をもってナンバー2チームを育成していくわけですが、期待のかけ方や発信の仕方にもコツがあります。まず大事なのが、社内と社外の両方に発信することです。
ナンバー2チームのメンバーたちに直接「君たち、がんばっているな」と声をかけることも大切ですが、社内の若い社員たちに「君も何年後かには、あのナンバー2チームに入れるようになろう!彼らは今、会社のためにものすごくがんばってくれているから期待しているんだ」などと言ってもよいでしょう。
また、社内に出入りしている取引先の担当者にもこういう話をすれば、第三者を通じてナンバー2チームには経営者の声が届きます。経営者はこれらのことを意識的に仕掛けていき、ナンバー2チームを盛り立てていきましょう。
チームのメンバーが社外の担当者と話をしたときに「社長、『数字さん』のこと、期待しているって言っていましたよ」と聞けば、「社長、またそんな話を外でしているんですか」と言うかもしれませんが、悪い気はしないはずです。
「最近、『管理さん』はこう変わってきたと社長が言っていましたよ」「『影響さん』のこんなところに期待していると言っていましたよ」「『信頼さん』の成長ぶりがすごいと言われていました」などと聞いたら、メンバーたちもうれしいはずなのです。ここは第三者の力を借りながら、ナンバー2チームのメンバーたちに期待を伝えましょう。もちろん、直接伝えることも大切ですが、このようなやり方をすると、より深くメンバーたちの心に経営者の言葉が届くはずです。
ナンバー2チームではないのですが、私たちのクライアントの中で、採用チームをつくっている会社があります。そこの経営者がすごく期待しているチームメンバーたちはまだ20代と若いのですが、第三者の力を借りて彼らに期待が伝わるよう、経営者自身にどんどん発信してもらうようにしました。
すると、採用チームのメンバーたちは取引業者や職人さんから電話がかかってきたときに「採用チーム、がんばっているらしいね」と言われたそうです。本人たちは照れくさくもうれしくもあり、私たちに「社長は外でこんなこと言っているみたいなんですよ」と共有がありました。私たちも社長の外部への発信を知っていますので、「それだけ期待されているのですね」と伝えたら、うれしそうに「がんばります!」と言っていました。
これはその人が若いからという話ではなく、どのような立場の人でもそうだと思うのです。こうした仕掛けは、経営者の腕の見せどころです。ぜひ、第三者を活用しながら、ナンバー2チームのメンバーたちの士気を高めていきましょう。
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