この記事は2022年8月19日に「月刊暗号資産」で公開された「千葉工業大学が国内で初めて学修歴証明書をNFTで発行」を一部編集し、転載したものです。
株式会社PitPaは18日、千葉工業大学と共同で、NFT(非代替性トークン)による学修歴証明の発行を開始したことを発表した。プロジェクト第一弾は、千葉工業大学変革センターで始めるという。
本NFTはイーサリアムブロックチェーンの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が提唱する「Soulboundトークン(SBT)」に通じる譲渡不可能なNFTの一種になるようだ。本NFT証明書の発行により、取得した学生は大学での学修の履歴や学びの成果を、就職活動や海外留学などの際にアピールすることが可能になるとしている。
PitPaは今回の取り組みにおける利点として以下を挙げている。
- 歴証明をブロックチェーン上に記録し、改ざんを防ぎつつ、NFTとして活用する証明書の発行は国内初
- NFT修得証明書は暗号資産ウォレットで証明データを管理できるため、様々なプラットフォームに接続し、学びの成果をワンストップでアピールが可能となる
- 記録の改ざんができないブロックチェーン技術の強みを活かしつつ、学生のプライバシーにも配慮した仕様を盛り込んだことで、情報漏洩リスクを軽減できる
- Web3.0時代の到来に備え、世界標準のツールを用意することで国際人材の排出を支援できる
NFT証明書はW3C(World Wide Web Consortium)が提唱するVerifitable Credentials(VC)の規格に準拠したデジタル証明書を拡張したものだという。NFTのアーキテクチャーにはBlockcertsを導入している。
Blockcertsは書類が改ざんされていないことを担保する「完全性」、書類の発行元が正しいことを示す「真正性」に優れたW3Cに準拠したOSSで、ブロックチェーン証明書の世界標準規格とされており、マサチューセッツ工科大学(MIT)やハーバード大学も導入している。
今回のNFTは、2022年前期に千葉工業大学内変革センターで行われたTenzin Priyadarshi教授の授業「気づきの減速」、武邑光裕研究員による「メディアと文化」の授業を履修し、単位を取得した学生に対し、8月9日付で発行したとのことだ。
千葉工業大学変革センター所長の伊藤穰一氏は発表で「私がマサチューセッツ工科大学でメディアラボに所属していた時代にスタートしたBlockcertsが、今回千葉工大のプロジェクトによりNFTの拡張機能を備え、web3仕様に進化したことを喜ばしく思います。学位は最もブロックチェーンに適したアプリケーションのひとつです。今回、千葉工大で、このようなプロジェクトを推進できたことに興奮を覚えます。これをきっかけに他の大学も使ってくれるとうれしいですね」と述べた。
今後は学士、修士、博士の学位の証明や社会人向け講座の終了書などについてもNFT化を進めていくという。(提供:月刊暗号資産)