この記事は2022年8月23日に「月刊暗号資産」で公開された「ビットコイン、ジャクソンホール会議を見据えて安値圏で揉み合い」を一部編集し、転載したものです。
22日の米国株式市場は、米10年国債利回りが3%を超えたことを受け大幅安となった。
25日~27日に米ワイオミング州で開催される「ジャクソンホール会議(米カンザスシティ連銀主催の年次シンポジウム)」で、タカ派姿勢への警戒感から米長期金利が上昇。リスク回避の動きが強まった格好だ。
NYダウ平均は前日比643.13ドル(1.91%)安の33,063.61ドル、ナスダックは前日比323.64ポイント(2.55%)安の12,381.57ポイント、S&P500は前日90.49ポイント(2.14%)安の4,137.99ポイントで終えた。
ジャクソンホール会合は、FRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長含め、主要国の中央銀行総裁や学者などが集まり、金融政策について議論する。今年は米国による金融引き締めの方針や、欧州および英国でも急速に進行するインフレへの対応策について話し合われることが予測されている。
8月はFOMC(米連邦後悔市場委員会)が実施されないため、主な中央銀行の金融市場に対する見解を把握できるジャクソンホール会議に市場からは注目が集まっている。
なお、26日にはパウエルFRB議長の講演が予定されている。そこでサプライズ発言が出るか否かで市場の反応も変わってくるものとみられる。過去を振り返れば、2010年に当時のバーナンキFRB議長が、会合でQE2(量的金融緩和策の第2弾)の実施をサプライズで示唆したことにより、金融市場へ大きなインパクトを与えたことがあった。
米国株がハイテク株を中心に大きく値を下げたことで、その影響は暗号資産(仮想通貨)市場にも波及した。
ビットコイン(BTC)はリスク回避のために19日の取引で急落。22日には一時2万1,000ドル(約286万円)を割り、3週間ぶりの安値を付けるなど、軟調な動きとなっている。記事執筆時点でも同水準を推移しており、ジャクソンホール会議を控え様子見が続いている。また、イーサリアム(ETH)をはじめ多くのアルトコインも値を下げている。
モルガン・スタンレーは19日、現在の暗号資産市場について、一服感があるとレポートで述べている。機関投資家によるテザー(USDT)などのステーブルコインの払い戻しは止まり、時価総額は下げ止まったと指摘している。
一方で、ポジションの再構築の動きは見られていないようだ。機関投資家についても、ジャクソンホール会議の動向を踏まえた上での動き出しとなりそうだ。
今週の暗号資産市場や株式市場はジャクソンホール会議での内容が判明するまでの間、安値圏で揉み合いが続く可能性が考えられる。(提供:月刊暗号資産)