この記事は2022年8月26日に「月刊暗号資産」で公開された「ビットコイン、ジャクソンホール会議を控え様子見姿勢強まる」を一部編集し、転載したものです。
25日の米株式市場は米企業の利益マージンを示す指標が1950年以来、最大に達したことが要因となり上昇した。これは企業が顧客に対して請求する価格が生産・労働コストを上回ることを示している。
米商務省が25日に発表した利益マージン総額の指標である非金融企業の粗付加価値(GVA)に占める税引き後利益の比率は、第2四半期(4月~6月)で15.5%に改善した。第1四半期(1月~3月)は14%であった。
25日、バイデン大統領は今月初めに成立した520億ドル(約7兆1,200億円)規模の米国内半導体業界支援法の迅速な施行を目指す大統領令に署名し、半導体銘柄が多く買われた。エヌビディアは4%高、インテルは3%高、マイクロン・テクノロジーは5%高と、それぞれ上昇している。
NYダウ平均は前日比322.55ドル(0.98%)高の33,291.78ドル、ナスダックは前日比207.74ポイント(1.67%)高の12,639.27ポイント、S&P500は前日比58.35(1.41%)高の4,199.12ポイントで終えた。
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)も米株式市場に続いて上昇する気配を見せたが、2万2,000ドル(約301万円)突破を目前にして下落。記事執筆時点では2万1,500ドル(約294万円)ほどを推移している。
また、大型アップデート「マージ(The Merge)」の実施スケジュールが発表されたイーサリアム(ETH)はビットコインと比べ緩やかな下落となったが記事執筆時点では同様に価格を落としており、1,650ドル(約22万6,000円)ほどで取引されている。
現在、株式市場や暗号資産市場では、25日の夕食会から始まったカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム「ジャクソンホール会議」を踏まえ様子見姿勢が強まっている。このジャクソンホール会議では、日本時間26日23時からパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が講演を予定しており、その発言内容に対する注目が非常に高まっている。
市場にインパクトを与える極端なタカ派発言はないとの見方がありつつも、インフレ率が目標を大きく上回り、労働受給の逼迫と賃金の高い伸びが継続している状況を踏まえれば、ハト派的な内容が色濃く映る可能性も低い。
その上で、パウエル議長がこれまでのハト派発言を一部反転させるのではないかとの憶測もあり、米金利上昇が続く場合は、売り圧力が強まるのではないかと懸念するアナリストもいる。
パウエル議長の発言がどちらに振れたとしても、講演後に暗号資産市場や株式市場において、相場が上下ともに大きく動く可能性が十分に考えられる。そのため、市場の動向を注視する必要があるだろう。(提供:月刊暗号資産)