この記事は2022年9月1日に「月刊暗号資産」で公開された「ビットコインなど軟調な動き続く FOMC見据え重要指標に注目集まる」を一部編集し、転載したものです。


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(画像=tendo23/stock.adobe.com)

先週末のジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を受け、米国株は下落が続いている。FRBが利上げを継続するとの懸念が広まり、投資家はリスク回避姿勢を強めている。

経済に痛みが伴ったとしてもインフレを抑制するという姿勢を鮮明に打ち出したパウエル議長の発言を踏まえ、ソフトランディング(軟着陸)に対する期待は捨て去られた。

米株式市場は4営業日連続の下落となり、主要株価3指数は軒並み、8月としては2015年以来7年ぶりの大幅な下落率を記録している。8月最後の取引となった各指数は、NYダウ平均が前日比280.44ドル(0.88%)安の31,510.43ドル、ナスダックが前日比66.93ポイント(0.56%)安の11,816.20ポイント、S&P500が前日比31.16ポイント(0.78%)安の3,955.00ポイントでそれぞれ終えた。

暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)は2万ドル(約279万円)を巡る攻防が続いている。記事執筆時点でも同水準を推移している状況だ。ビットコインを最も保有するマイクロストラテジー(Microstrategy)の創業者であるマイケル・セイラー氏が脱税容疑で起訴されたことも投資家の心象を悪くした可能性がある。

アルトコインではイーサリアム(ETH)も下落したが底堅さを見せ記事執筆時点では1,530ドル(約21万3,000円)ほどを推移している。今月中旬に予定されているPoS(プルーフ・オブ・ステーク)移行を目的とした大型アップデート「The Merge(マージ)」を見据えて、投資家の動きも慌ただしくなってきている。マージ前後における価格の乱高下を見据えた積極的な取引が行われることで、ボラティリティが比較的高くなっている状況だ。

先週末に米商務省が発表した7月の米PCEデフレーターは6.3%であった。PCEデフレーターは個人消費の物価動向を示す指標で、6月の6.8%から僅かに低下した。それでもFRB要人のタカ派発言は続いており、依然として金融引き締めに対する

日本時間1日夜には米ISM製造業景況指数が発表される。また、2日には雇用統計の発表が控えており、暗号資産市場や株式市場に影響を及ぼす可能性がある重要指標が続く。

さらに、13日には消費者物価指数(CPI)の発表がある。近頃は米CPIの発表前後に暗号資産市場および株式市場ともに大幅な変動がみられる傾向にある。CPIの結果は今月20・21日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)において、利上げ幅を決定する極めて重要な要素となる。

9月開催のFOMCでは0.75%の利上げ観測が根強い。パウエル議長は利上げ幅について、「データ次第」と一貫して発言していることから、重要指標の結果次第では市場に大きな影響を及ぼす決断が下される可能性もある。(提供:月刊暗号資産