この記事は2022年9月8日に「月刊暗号資産」で公開された「日本経団連、暗号資産課税の見直しを要望 金融庁に続く形」を一部編集し、転載したものです。
日本経済団体連合会(経団連)の2023年度税制改正要望が6日、明らかになった。時事通信が報じた。
経団連は国内のスタートアップ企業の育成を図るため、企業が自ら発行して保有する暗号資産(仮想通貨)について、期末時価評価課税の対象から外すよう求めることなどを柱としているようだ。この改正要望は近日発表される。
現在、企業は暗号資産を現金化せず保有するだけでも決算期末に時価評価され、課税対象となっている。そのため、暗号資産を保有するスタートアップは負担を強いられている。これがスタートアップ企業の海外移転の要因の1つとなっている。
経団連は税制改正を実現させ、スタートアップの海外流出を防ぐ狙いがある
経団連は日本経済全体を浮揚させ、国際競争力を取り戻すためには、スタートアップの裾野を広げる必要があると考えている。そのために新たな経済活動のフロンティアとしてWeb3.0を挙げている。
今年6月にはデジタルトランスフォーメーション(DX)会議を開催しており、そこでWeb3.0がもたらす社会変革について意見交換を交わすなど、ブロックチェーンに関する活動が積極化している。
また、大企業とスタートアップの共同開発を促す「オープンイノベーション税制」に関しても、制度の延長やスタートアップ側の出資要件の緩和を引き続き要望する。岸田政権が掲げている「新しい資本主義」において、スタートアップ企業を5年で10倍に増やす目標を達成すべく、経団連も動きを加速させる。
その他、脱炭素社会の実現に向け、自動車重量税のエコカー減税や自動車税・軽自動車税のグリーン化特例の拡充と延長などを要望した。また、個人の資産形成を後押しするため、NISA(少額投資非課税制度)の恒久化や非課税機関の無期限化についても求めている。
先月31日、金融庁は2023年度の税制改正要望を公表した。暗号資産の課税については、期末の時価評価に基づく現在の課税制度が、ブロックチェーンを活用した国内での起業や事業開発の阻害要因になっていたと指摘している。今回の経団連の動きは、金融庁の動きに続いた形だ。
また、岸田文雄首相の肝煎りで2022年末に「スタートアップ5カ年計画」が策定される。
岸田首相は「戦後の創業期に次ぐ日本の第2創業期を実現するため、本年をスタートアップ創出元年にする」と今年1月4日の年頭記者会見で語った。そのため、Web3.0の促進や環境整備が不可欠であるとの立場を示してきた。(提供:月刊暗号資産)