資産30億円の上場企業オーナー経営者が資産収入2,000万円を望む
naka/stock.adobe.com、ZUU online

筆者は富裕層向けの独立系ファイナンシャル・プランナーとして活動している。富裕層限定としているわけではないが、筆者のスキルセットや発信内容が富裕層向けであるため、結果的に資産規模が大きい方からご相談をいただくことが多い。

ほとんどの富裕層はお金に関する悩みを抱えているものだが、一般論として、それをあまり表に出す方は少ない。あまりにオープンに話してしまうと、彼らを食い物にしようする“搾取者”を呼び寄せてしまうためだ。そのため、富裕層が実際にどのようなことに悩んでいて、どのような解決策を取るかは、意外と知られていないように思う。

そこで本連載では、筆者の元に届いた富裕層の資産運用相談の実例を紹介していきたい。この連載を通じて「富裕層がどのような悩みを抱えており、どのような解決法があるのか」の参考になれば幸いだ。なお、守秘義務の関係から、諸条件は多少修正していること、脚色を加えていることをご容赦いただきたい。

菅野陽平
菅野 陽平(かんの ようへい)
富裕層の資産管理に詳しいファイナンシャル・プランナー 兼 マネーライター。幼少期より学習院で育ち、学習院大学卒業後、2012年に新卒で野村證券に入社。多くの富裕層の資産管理を担当する。2016年、株式会社ZUUに入社し、日本最大級の金融・経済情報メディア「ZUU online」の編集長を務める。プライベートバンカー資格、AFP保有。編集著書に『富裕層・経営者営業大全』(一般社団法人金融財政事情研究会、2020年7月31日発売)。

資産30億円の上場企業オーナー経営者 インカムゲインで2,000万円を得るには

それではまずは、今回の相談者の概要を見ていこう。この相談者をBさんと呼ぶことにする。

<Bさんのプロフィール>
・40〜50代の男性(特定を防ぐために年齢を広めに表示)
・最近、東証グロース市場に上場したベンチャー企業の創業者
・現在も代表取締役として第一線で活動している(現役の上場企業経営者)
・時価総額はまだそこまで大きくなく、今後の成長が期待されている状況
・自社株を含めた資産額は30億円前後(株価によって日々変動する)
・自社株を除く金融資産は1億円超
・役員報酬は1,500万円ほど

<相談事項>
・生活の質をさらに高めるために、役員報酬にプラスして、あと2,000万円ほど資産収入(インカムゲイン)を生み出せたら嬉しい

Bさんはいわゆる「上場企業オーナー」で、富裕層ピラミッドのなかでも最上位に位置する属性だ。現時点でも日本トップクラスの富裕層だが、経営する企業の成長次第では、資産100億円はおろか、資産1,000億円超えも夢ではない。

cool