この記事は2022年9月30日に「月刊暗号資産」で公開された「米裁判所、リップルの有価証券問題でSECに重要資料の提出を命じる」を一部編集し、転載したものです。


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(画像=AlekseyIvanov/Shutterstock.com)

米ニューヨーク州南部地区連邦裁判所のアナリサ・トーレス(Analisa Torres)判事は29日、暗号資産(仮想通貨)XRPの有価証券問題を巡る裁判において、元SEC(米証券取引委員会)法人金融部長のウィリアム・ヒンマン(William Hinman)氏が2018年に行ったスピーチの資料を提出するようSECに命じた。

リップル社はヒンマン氏のスピーチが裁判の重要証拠になると主張しており、これによってSECが不利な立場に置かれる可能性が高まりつつある。

この判決を受け、XRPは前日比約10%上昇。記事執筆時点では70円ほどを推移している。

SECとリップル社の裁判におけるキーマンはヒンマン氏と言われていた。同氏は2018年6月に行われたサミットでスピーチした際、「ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの暗号資産、そしてそれらの取引は有価証券および、有価証券取引にはあたらない」と発言している。

SECはヒンマン氏のスピーチに関連する電子メールや草稿について、デュー・プロセス(due process)特権(DPP=審議プロセス特権)に基づき保護されるとして、非公開を要請していた。DPPとは、政府や政策の変更発表につながる秘密会議について広く使われている言葉だ。

しかし今年4月、サラ・ネットバーン(Sarah Netburn)裁判官は、ヒンマン氏の文書はDPPで保護されないとしてSECの申請を却下していた。ネットバーン裁判官は、ヒンマン氏のスピーチ文書はSECのものではなく、彼個人のものであるとの見解を示した。

SECは当初、ヒンマン氏のスピーチはSEC全体の方針を示したのではなく、個人の見解だと主張していた。しかし書類提出を命じられた後、SEC企業金融部門のアプローチを伝えるために原稿を作成したため、DPPで保護されると主張を転換するなど、対応は混沌としている。

有価証券問題を巡る裁判については、今月18日に米国地方裁判所南地区へ略式判決を求めたことが明らかになっている。これにより、2020年12月から2年ほど続いている裁判が早期に解決する可能性が高まった。

今回裁判所から下された命令を受け、今後SECがどのような対応を見せるのか一層注目が集まるものとみられる。(提供:月刊暗号資産