近年「バイオ燃料電池」という言葉をよく耳にするようになった。バイオ燃料電池は、環境に優しいため、地球温暖化の抑制や循環型社会の促進などへの貢献が期待されている。一方、その開発や実用化は進んでいるものの、まだ課題も多い。本記事では、バイオ燃料電池が実用化されることでどのようなメリットがあり、どのような社会が期待されるか紹介する。
目次
バイオ燃料電池とは
バイオ燃料電池は、酵素や微生物が生み出すエネルギーを変換して発電する電池だ。大きく「生体内の酵素を使うもの」「微生物を使うもの」に分けられる。
どちらも身近な生物の力を使った発電技術であり環境に優しい次世代エネルギーとして期待されている。なお燃料電池と聞くと「燃料電池自動車」をイメージする人もいるだろう。燃料電池自動車は、水素と酸素の化学反応で起こる電気を動力源としており、CO2をはじめとする排出ガスの代わりに水のみ排出する環境に優しい自動車だ。
ただ発電に使う電子を取り出すための触媒には、白金などの金属が用いられており酵素を触媒とするバイオ燃料電池のほうがさらにエコといえそうだ。
バイオ燃料電池のメリット
バイオ燃料電池には、主に以下の3つのメリットがある。
レアメタルを必要とせず、低コスト
上述したようにバイオ燃料電池では、水素燃料電池のように白金などのレアメタルを必要としないため、低コストになる点はメリットである。埋蔵量が限られている白金に対しバイオ燃料電池に必要な酵素は無尽蔵。安価で大量の原料調達も可能になる。
環境負荷が少ない
酵素は体温で働き、反応を促進させる際に高温にする必要がないため、水素燃料電池よりも環境負荷が少ない点もメリットの一つだ。そもそも酵素は、金属のように環境を汚染しないため、使用済み電池の廃棄性も良い。
生体親和性が高い
酵素を使ったバイオ燃料電池は、生体親和性が高い点もメリットといえる。例えばペースメーカーなどのように体内で使用する場合なども金属を触媒に用いる電池に比べて安全だろう。体内の酵素を使って発電するため、電池交換の必要もなくなるメリットも考えられる。
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