ダイバーシティ推進における課題
ダイバーシティは現代ビジネスを成功に導くキーワードだが、推進にあたってはさまざまなリスクが潜んでいる。ここからは、国内企業が直面しやすい3つの課題を解説しよう。
コミュニケーション障害
多様な人材を受け入れると、社内には言語や文化などの違いが生じる。その結果、従業員同士の意思疎通が難しくなるため、深刻なコミュニケーション障害を引き起こすリスクがある。
社内全体のストレスにもつながるので、ダイバーシティ経営では円滑なコミュニケーションを常に意識しなければならない。
多様な価値観によるトラブル
多様性はさまざまなアイデアを生み出すが、その反面でチームワークの乱れにもつながる。特に国籍や人種が異なると、マナーや常識にも大きな違いがあるので、パフォーマンスの低下を避けることが難しい。
対立や誤解によって、従業員同士の対人トラブルが起こりやすくなる点も注意したいポイントだ。
ハラスメントの増加リスク
社内にさまざまな文化が混在すると、無意識のうちにハラスメントを引き起こすリスクがある。特にジェンダーハラスメントやモラルハラスメント、セクシャルハラスメントの発生リスクは、人材が多様になるほど高まるだろう。
これらの問題を防ぐには、従業員同士が個々の属性を理解し、かつ尊重し合える環境づくりが必要になる。
ダイバーシティ推進のポイント
ダイバーシティにはさまざまなリスクがあるため、実施の前には綿密なプランが必要になる。ここからは、中小企業が意識したいダイバーシティ推進のポイントを紹介する。
ダイバーシティの定義や目的を明確にする
企業によって従業員の属性や人事制度は異なるため、ダイバーシティでは会社ごとの施策が必要になる。したがって、まずは自社ならではの定義や目的を明確にしなければならない。
例えば、すでに女性従業員が多い企業では、採用活動ではなく教育面やサポート面に力を入れるべきだろう。ダイバーシティの浸透には時間がかかるため、社内が一体感をもてるような定義・目的を考えよう。
個々の事情を踏まえて、従業員ひとり一人に合った施策を考える
福利厚生や教育制度などを単に充実させるだけでは、本当の意味でダイバーシティを実現したとは言えない。ダイバーシティは個人をベースにした概念であるため、従業員ひとり一人に寄り添った施策を考える必要がある。
仮に年齢や性別が同じであっても、従業員によって理想の働き方やライフスタイルは異なるので、まずは対話やアンケートなどを通して個々の事情を把握するところから始めたい。
コミュニケーション関連の施策に力を入れる
前述の通り、ダイバーシティを進めるとコミュニケーション障害が起きやすい。言語や文化、慣習の違いによって情報共有が遅れると、従業員のモチベーションや生産性が下がってしまう。
このような失敗を防ぐためにも、コミュニケーションの活性化やスムーズな情報共有につながる仕組みを整えておく必要がある。