政府が推進するダイバーシティは、今後の企業の在り方を変える概念である。SDGsや働き方改革にもつながるため、経営者や人事担当者は早めに基礎知識を押さえておきたい。本記事ではダイバーシティの概要のほか、推進のポイントを事例つきで紹介する。
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(画像=west_photo/stock.adobe.com)
ダイバーシティとは?
ダイバーシティ(Diversity)は、直訳すると「多様性」を表す言葉である。ビジネス用語としては、性別や年齢、人種、国籍、宗教、ライフスタイルなど、あらゆる属性の人材を受け入れることを意味する。
多様な人材を受け入れる経営手法は「ダイバーシティ経営」と呼ばれており、近年では厚生労働省も推進している。SDGsや働き方改革、ワークライフバランスとの関わりも深いため、経営者や人事担当者は意味を正しく理解しておきたい。
ダイバーシティの2つの種類
ダイバーシティは、本人の意思では変えられない「表層的ダイバーシティ」と、外見からは認識できない「深層的ダイバーシティ」の2種類に分けられる。
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いずれも個人の尊厳に関わる要素だが、宗教や働き方、コミュニケーションスキルなどの違いは外見からは判別できない。そのため、企業の組織マネジメントでは、深層的ダイバーシティとの向き合い方が重要な課題とされている。
インクルージョンとの違い
ダイバーシティとセットで使われる用語に、「インクルージョン(直訳:受容性)」がある。これは各人材の多様性を活かすことで、従業員ひとり一人が能力を十分に発揮している(=活躍できている)状態のことだ。
単に多様な人材を受け入れるだけでは、個人・企業のパフォーマンスを発揮させることは難しい。十分に活躍できる環境を整えてこそメリットが最大化されるため、近年では「ダイバーシティ&インクルージョン」をミッションに掲げる企業が増えてきている。