この記事は2022年11月29日に「月刊暗号資産」で公開された「プーチン大統領、ブロックチェーンを活用した新たな国際決済ネットワークの構築を提唱」を一部編集し、転載したものです。


国際決済
(画像=琢也 栂/stock.adobe.com)

ロシアのプーチン大統領は24日、モスクワで開催されたロシア銀行大手ズベルバンク(Sberbank)主催のイベントで、デジタル通貨とブロックチェーンを活用した新たな国際決済ネットワークの構築を提唱した。ロシア国営メディアのタス通信が報じた。

プーチン大統領は、「デジタル通貨と分散型台帳技術により、はるかに便利かつユーザーにとって最も安全で、そして最も重要な点である銀行や第三者からの干渉から独立した新しい国際決済システムを構築することが可能だ」と述べた。また、現在ロシアに対して発動されている経済制裁に触れ、「現在の非合法な規制状況下では、決済システムは攻撃ラインの一つになっている」と付け加えた。

さらに、「現在の国際決済システムは高価であり、コルレス銀行制度と規制は、少数の国家と金融会社によってコントロールされている」と述べ、欧米諸国が構築する国際金融決済システムに対抗するために、独立したブロックチェーンベースの決済ネットワークが必要だとの考えを示した。

なお、コルレス銀行制度とは海外送金をする際にその通貨の中継地点となる銀行を指す。手数料が高い点や取引完了までの時間が長い点が大きな課題となっている。

こうした課題に触れる形で、プーチン大統領は「独占企業による独裁はその企業自身を含めた全ての関係者に悪影響を与えるもので、独占者の命令を望む人はいないことから、今後ブロックチェーンベースの決済システムが構築され、発展すると確信している」と述べた。

ロシアでは先日、国会議会下院が主導し、財務省とロシア中央銀行の協力を得る形で国営暗号資産(仮想通貨)取引所を設立する準備を行なっていることが明らかになった。デジタル資産に関する法改正について議論を行っている段階で、まとまり次第ロシア政府およびロシア中央銀行に修正案が提出される予定となっている。

経済政策委員会のセルゲイ・アルトゥホフ(Sergei Altukhov)氏は「暗号資産の存在を否定しても無意味だ」とした上で、多額の税収を得る機会が損なわれていると強調し環境整備を早急に進める必要性を訴えている。

ロシアでは今年に入り暗号資産やCBDC(中央銀行デジタル通貨)である「デジタル・ルーブル」の活用に関する議論が加速している。デジタル資産を活用し、厳しい経済制裁を回避する狙いがあるものと考えられる。(提供:月刊暗号資産