「グローカル」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「国際的視点を持ちながら、地域に根付いた行動をとる」という概念を意味し、近年、注目が高まっている。本記事ではその背景や、グローカル企業の事例、今後求められる人材像について紹介する。
目次
グローカルとは?
意味は?
「グローカル(Glocal)」とは「グローバル(Global:地球規模・世界規模の)」と「ローカル(Local:地域・地元の)」を掛け合わせた造語だ。「地球規模の広い視野を持ちながら、地域に根ざした視点で行動する」という考え方を指す。
日本企業が海外展開する際のビジネス戦略の理念として1980年代に発祥し、世界規模の事業を行うグローバル企業と、近隣地域のニーズや特徴に適した事業を展開するローカル企業の双方の長所を取り入れたものだ。現在は環境問題、地域開発、政治、経済といった幅広い分野で用いられる。
グローカル企業とは?
グローカルを実践する企業を「グローカル企業」と呼ぶ。具体的には、世界的に事業を展開する中で、各国に現地法人を構えるなどして、その地域の習慣や文化、法制度などに合わせた商品開発や販売を行う企業を言う。
他にも、企業の拠点を大都市ではなく、小さな町に置いてローカルに活動しながらも世界に目を向けた事業を進める企業も含まれる。
なぜ注目を集めているのか?
グローカルの重要性・メリットは?
グローカルが注目を集める理由には、インターネットの普及によって加速したグローバル化の負の側面を解消できると期待されているためである。
グローバル化とは、社会や経済が国・地域の境界を超えて拡大する現象のことを指す。グローバル化はさまざまなメリットをもたらした一方で、文化や信仰、慣習などが異なる地域においては、世界的に画一化された水準は必ずしも受け入れられないという問題を浮き彫りにした。
そこで注目されたのがグローカルだ。世界規模の基準も保ちながらも地域に寄り添おうとする概念は、こうした問題を解決し、海外進出する企業において重要視される戦略となった。地域に根ざしたビジネスは、地元民に受け入れられやすく、ひいてはその地での経済活動を長く続けることを可能にする。