フリーターから元手800万円で株式投資をスタートし、総利益50億円を突破したカリスマトレーダーのテスタ氏が、株式投資で勝ち続けるために必要な「投資脳」を育てる方法を4回に分けて解説する連載。第2回は、株式投資の経験者でも判断に迷う「株の売り時」の考え方について紹介します。
想定の範囲内なら保有、想定外なら売却
「株は買うより売るのが難しい」とよく言われますが、私は「想定と違ったら売る」というシンプルなやり方を実践しています。株を買うときには、それなりの理由があるはずです。買った理由がなくなれば、持っている理由もなくなります。
たとえば、「この商品が売れている(売れそうだ)から買おう」と思って買ったのなら、それが売れている間は保有し、売れ行きが落ちてきたら売るのです。それはファンダメンタルズを見て買った場合も、テクニカルで買った場合も同じで、業績やチャートなどを見て「想定から外れたら売る」、ただそれだけです。
株を始めた頃に読んでいた本やブログに、「損切りができなければ株は勝てない」という話がよく出てきました。実際にやってみると、確かに買った株の株価が下がってきたときにどう対処するかによって、成果が大きく違うことを実感しました。相場環境の悪化や業績不振など、何かネガティブな要因で一時的に株価が下がったとしても、買ったときに想定した範囲内であればそのまま持ち続け、想定と大きく違ったら売ればいいわけです。
再現性のあるトレードをすることが大事
よく「下がった株も売らなければ損は確定しない」と言い張る人がいますが、含み損を抱えている時点で、売っても売らなくても「損をしている」ことに変わりはありません。そこから戻るという確証があって持ち続けているならいいのですが、なんとなく「いつか戻るだろう」という淡い期待でズルズルと持ち続けると、深みにはまって“塩漬け株”を抱えることになります。
そもそも自分が買った値段は相場とはまったく関係がなく、株価がそれを意識して動くことはありません。想定外になったということは、その投資はうまくいっていないわけですから、損切りしてでも終わらせるべきなのです。
もちろん、売った後に株価が戻るという可能性はそこそこあるでしょう。でも、さらに下がる可能性もそこそこあります。「それなら五分五分」と思うかもしれませんが、想定から外れ、思っていなかったトレードで勝ったとしても、そこには「再現性」がありません。たまたま勝ったに過ぎないのです。投資で成功するためには、運やまぐれで勝つのではなく、再現性のあるトレードをすることが大事です。
「なんとなく」をなくして、不確実性を低減
このように「想定内か、想定外か」というシンプルな基準で、例外なく決断するようにすれば、「たまたま勝つ」「たまたま負ける」という不確実性を減らすことができます。私も以前、細かく売買注文を繰り返す「スキャルピング」が中心だった頃は1日100回以上トレードをして、損切りの回数がそのうち半分を占めることも結構ありました。でも、トータルでは利益がきちんと出続けたので、やはりその効果は高いといえるでしょう。
ただ、ここで重要なことは、買うときにそれを買う理由やその後の展開をどれだけ具体的に描けるかという点です。たいした理由もなく、「なんとなく」で買うと、どこで売ればいいのかがわからなかったり、下がったときにどうするのかを決められなかったりして、売り時を逃してしまいがちです。
「こういう理由があるから買う」「こうなったら売る」ということを最初から明確にしておくと、その後の判断がスムーズです。また、保有している間に業績やテクニカルは変化していくので、適宜見直すことも大切でしょう。
中長期投資は「安定した高配当」狙い
当初はデイトレードが中心でしたが、7年前から資産の一部を別口座に移し、高配当狙いの約40銘柄で中長期投資を行っています。一口に中長期投資といっても、一歩先の未来(メタバース、ポストコロナなど)を見据えた有望銘柄や、個別の材料(業務提携、新商品など)に基づく注目銘柄など、さまざまな観点や時間軸があります。私は不労所得としての配当に注目し、高配当銘柄に投資しています。自分の総資産の何パーセントを振り分けるかは、年齢や能力、資金の性格などを考慮して決めればいいでしょう。
高配当銘柄は配当利回りがいくら高くても、一時的に高くなっている可能性があるので、「安定して高めの配当が出ているかどうか」を基準に選定しています。毎年同じような配当を出しているか、この先も同じくらいの利益を出せるかがポイントで、単年度の数字を見るのではなく、複数年度分も併せて見るようにしています。
最近はコロナによる影響にも注目
特に最近は、新型コロナウイルス感染による影響がどうだったかを必ずチェックしています。コロナ禍によって、休業や閉店、リモート出社など、会社にとって多くの異常事態が起こったわけです。利益は減っていて当然なのですが、その減り方を見ればその会社の利益体質が安定しているか、非常事態への耐性が強いかどうかがわかります。2020~21年の利益をその前後と比較するとさまざまなことが見えてくるので、参考にしています。
長期保有が前提なので、普段からウォッチングして一喜一憂することはありませんが、利回りが著しく低下した場合は株価を見て判断します。株価が高くなり過ぎて利回りが下がっているなら利益確定、配当が減って想定より低下していれば損切りをします。それ以外はキープし、場合によっては買い増すこともあります。いずれにしても、「長く安定して高い配当がもらえればOK」というスタンスで臨んでいます。
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