米国株の情報を発信するブロガーで、ベストセラー『お金が増える 米国株超楽ちん投資術』の著者・たぱぞう氏が、これから米国株投資を始めようと考えている読者に向けて投資の秘訣を4回に分けて伝授します。第1回は、米国の主要株価指数である「S&P500」への投資について解説します。

目次

  1. 株価水準的には、米国株投資の始めどき
  2. 5年に渡って、時間と資金を分散して投資
  3. 上がるインデックスを強い国の通貨で持つ

株価水準的には、米国株投資の始めどき

たぱぞう

私の株式投資のスタートは、サラリーマン時代だった2000年。当初は日本の個別株に投資をしていたのですが、2010年以降は米国株中心の投資へとシフトしました。きっかけは2008年のリーマンショックです。その後、外国為替市場では、ドル/円相場が1ドル=80円を割り込みました。現在の約半分の水準ですね。その後は米国株も上昇し、為替も円安に推移していきましたので、資産は急スピードでふえていきました。最初に買ったバンク・オブ・アメリカは2倍くらいになりました。同時に買ったシティはもっとですね。

勘のいい読者の方はすでにお気づきかと思いますが、米国株投資には常に為替の変動リスクがついて回ります。円安に動けば為替差益が享受できますが、逆に円高に動けば株価が同水準でも資産は目減りしてしまうわけです。では、足元の急激な円安局面で米国株に投資するのはどうなのかという話ですが、結論から言えば、複数の銘柄への分散投資を行うことでまだまだ投資妙味はあると考えています。

一方、株価自体の水準はというと、ここ数年を見ても現在の米国株はかなり安い水準にあると言えます。米国の主要株価指数であるS&P500で見ても、すでに今年の高値から25%超下落しています。仮に今後リーマンショック級のシュリンク(株価の調整)が起こっても、ここから20~25%の下落と考えると、いまは参入しやすい水準にあるのではないでしょうか。

5年に渡って、時間と資金を分散して投資

これはあくまでも個人的見解ですが、私は運用資産が10あるとすれば、そのほとんどを米国株に投資していいと考えています。ただ、その10をどのように米国株に投資するのかということはよく考える必要があります。それが「時間の分散」であったり、「資金の分散」であったりということになるわけです。

いまある資金を一度にすべて投資してしまうと、そこが起点となってしまうため、株価が値下がりしてしまった場合に身動きが取れません。相場というものは常に上昇と下落を繰り返しながらトレンドを形成していくものです。ですので、時間と資金を分散することで、株価と為替の変動リスクを平均化しながら長期的に安定的な運用が行えるわけです。

たとえば、運用する資産を10とした場合、それを5年に振り分けて投資していきます。そうすると1年あたり2になるわけですが、さらにその2を12に分けて、毎月少しずつ積み立てながら投資していきます。もし、その5年の間にさらに大きな調整がマーケットで起これば、そこで投資を加速させるというのもひとつの戦略です。これは誰にでもできる投資術です。再現性の高い、シンプルなロジックだからです。

銘柄の分散については、S&P500に投資することで解決できます。S&P500は、ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している代表的な500銘柄の時価総額をもとに算出される株価指数で、米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしています。銘柄の選定に際してもコンプライアンスを重視し、さらに4四半期連続で黒字であることなど選定基準の整備がしっかりとされています。だからこそ、長期的に見ても右肩上がりの推移が続いているわけです。もちろん、NYダウも歴史のある株価指数ですが、こちらは30銘柄で構成されているため、銘柄の分散効果という意味ではS&P500には及びません。ただ、構成銘柄をチェックし、S&P500よりもNYダウに魅力を感じるのであれば、そちらへの投資を考えてもいいと思います。

上がるインデックスを強い国の通貨で持つ

今では日本の個人投資家も、米国だけではなく、さまざまな国のインデックスに投資することができますが、中にはなかなか上がらないインデックスも多くあります。日本のTOPIX(東証株価指数)もそのひとつです。バブル期の1989年には2884ポイントを記録しましたが、30年以上経った現在も2000ポイント近辺をうろうろしています。インデックスへの長期投資は、株価が右肩上がりで上がり続けることが前提です。日米の主要株価指数の長期チャートを見比べれば一目瞭然ですが、なかなか上がらないインデックスに投資するのは時間も資金ももったいないと思いませんか?

私も過去には、中国、インドネシア、タイ、英国、アイルランド、オランダといったさまざまな国の株にADR(米国預託証券)や現地通貨で投資していました。そのような経験の中から米国株投資に絞ったわけです。たとえば、インドネシアなどはもともとインフレに悩まされている国です。そのため為替や株価の変動も激しく、株を持ち続けることに大きなリスクが発生する可能性があります。今ではADRを通じてドル建てで投資することができますが、やはり強い国の通貨で資産を持つことが大切だと感じました。それが米ドルであり、S&P500だったということです。

ただ、資産も1億円を超えてくると米国株だけではなく、さらに別の分野への分散投資を考えたほうがいいかもしれません。株式投資というのは、比較的ボラティリティが高いためです。ある程度の資産を築くまではボラタイルな株式投資は魅力的ですが、そこから先は資産を守るためのディフェンシブな運用も組み入れるべきだと思います。

次回はポートフォリオについて考えていきます。

たぱぞう
たぱぞう
たぱぞう 2000年より投資をスタート。2010年以降は、米国株中心の投資にシフト。2016年、自らの投資観をブログにて書き始める。現在平均月間100万PV。「誰でもできる投資術」「誰でもわかる海外投資」をモットーに執筆中。2019年刊の初著書『お金が増える 米国株超楽ちん投資術』がベストセラーに。近著に『経済的自由をこの手に! 米国株で始める 100万円からのセミリタイア投資術』(小社刊)、『初めてでも儲かるたぱぞう式投資のキホン』(きずな出版)など。YouTubeチャンネル「たぱぞう投資大学」の登録者数は現在19.9万人。 オフィシャルサイト:たぱぞうの米国株投資 SNS:@tapazou29
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