米国株の情報を発信するブロガーで、ベストセラー『お金が増える 米国株超楽ちん投資術』の著者・たぱぞう氏が、これから米国株投資を始めようと考えている読者に向けて投資の秘訣を4回に分けて伝授する連載。第2回は、S&P500を中心としたポートフォリオの組み方を紹介します。

目次

  1. サテライト部分には攻めの資産を
  2. 3つのポイントから日本の個別銘柄を選ぶ
  3. 時として、マイルールを破ってもいい例外がある

サテライト部分には攻めの資産を

たぱぞう

前回は、米国の主要株価指数である「S&P500」への投資についてお伝えしました。個人的には、長期資産運用は米国株投資、それもS&P500への投資だけで十分だと考えています。資産運用の目的は人それぞれですが、多くは老後や住宅、教育といったライフプランにおける3大支出に向けたものではないでしょうか。もし、その通りだとすれば、毎月機械的にS&P500に積立投資している限り、日々の値動きはさほど気にする必要はありません。毎月同じ金額を積み立てるのであれば、株価が下がっているときほど、たくさんの株を仕込めるチャンスでもあるからです。このように株価の大きな変動に右往左往しなくていいもの長期積立投資の大きなメリットです。

とはいえ、せっかく資産運用を行うのであれば、S&P500だけではなく、ほかの銘柄や金融商品にも分散して投資したいと考える気持ちも理解できます。そこで、S&P500を中心とした「コア・サテライト戦略」を考えてみましょう。コア(中核)に置くのは、もちろんS&P500です。そしてサテライト(衛星)に置くのは、日本株でもいいですし、米国の個別株でも構いません。大切なのは、コアの部分に長期運用のS&P500を置き、サテライトの部分に「攻めの資産」を配置することです。

3つのポイントから日本の個別銘柄を選ぶ

日本株への投資ですが、こちらは個別株を中心に考えたいところです。日経平均やTOPIX(東証株価指数)といったインデックスは、確かに銘柄の分散投資というメリットはありますが、本来、インデックス投資というのは経済成長を背景に株価が上昇基調になることを前提とした投資対象になります。日米の主要株価指数の長期チャートを見比べればわかりますが、日経平均やTOPIXはいまだ30年以上前のバブル期の高値を下回ったままです。では、現在のような相場環境で日本の個別株を買うとするなら、どのような視点で銘柄を選べばいいのか。ポイントは以下の3つだと思います。

まずは、売り上げが伸びていること。2つめは営業利益率が20%を超えている会社。これは業態やセクターによっても異なりますので、あくまでも目安となります。最後に営業キャッシュフローが右肩上がりで伸び続けているかどうかという点。まずはこの3つで銘柄をスクリーニングにかけます。その中からビジネスモデルとして、唯一無二のオンリーワン企業であったり、将来的にその可能性を秘めていたりする会社を見つけ出せれば、投資対象としておもしろいと思います。ただ、このような会社は残念ながら日本よりも米国に多いのが現状です。

では、ITやハイテク企業が中心の米国のナスダック総合指数への投資はどうでしょうか。ここ数年、日本の多くの個人投資家が、ナスダック総合指数への投資にチャレンジしてきました。早くから投資を始めた人は大きな利益を挙げることに成功したでしょう。しかし、今年に入ってから始めた人は、大きな損失を被っているはずです。

S&P500に比べて、ハイテク株の組み入れが多いナスダック総合指数は将来の成長をかなり先取りするかたちで推移する期待値によって成長していく株価指数で、ボラティリティ(変動率)の高さがメリットでもありデメリットでもあります。それを承知のうえで投資するというのであれば、株価が大きく調整している今がチャンスと考えられるかもしれません。もしも安定性を求めるのであれば、個別株としてヘルスケアなどの比較的ディフェンシブな銘柄をサテライトに加えるものいいと思います。

ただし、どんな銘柄を選んだにせよ、その銘柄に振り分ける資金は資産総額の10%以内、ある程度資金が大きくなれば5%以内に収めたいところです。過去、私も自分が選んだ銘柄に惚れ込んで集中投資を試みた時期がありました。下がり続ける株をナンピンで買い下がっていったのです。ついには資金が底をつき、資産は10分の1まで減ってしまいました。結果的には、その後はリバウンドし、資産は4倍くらいになったのですが、この経験もあって資産の大きくなった今では個別銘柄への集中投資は避けるようになりました。個別株投資には、見通し違いというものが必ずあります。だからこそ、1つの銘柄に集中投資するのではなく、複数の銘柄に分散して投資することが大切なのです。

時として、マイルールを破ってもいい例外がある

ただ、そんな私も「10%以内」というマイルールを破ったことがあります。それが2020年のコロナショックの時です。大きなショックの時には、なんらかのマーケットがクラッシュします。コロナショックときは、原油先物価格が史上初となるマイナス価格となりました。理論的には、原油の買い手が原油をもらったうえにお金までもらえるという不思議な構図となったわけです。このようなわかりやすいオーバーシュートが起こったときには、長期的に見て投資のチャンスと捉えることができます。

ただし、ここではオーバーシュートの中心を買うのは危険です。コロナショック時でいえば、原油先物を買うのではなく、普段から気になっていた銘柄を買うとか、多少冒険するなら原油関連の個別銘柄を購入するということになります。

少し前に「老後資産2000万円」という問題がクローズアップされました。では、その老後資産を貯蓄でつくるのか、それとも投資でつくるのか? 残念ながら低金利下の日本の現状では貯蓄でつくるのはとても困難です。通貨(日本円)の価値自体もどんどん下がっていくでしょう。

では、足元で金利が上昇している米国債券などへの投資はどうでしょうか? これについては、すでに資産を米ドルで持っている方であれば、それを金利の高い米ドル建てMMFなどに振り分けるというも戦略のひとつです。ただ、今から日本円をドルに換えて米ドル建てMMFに投資するのはリスクもあります。為替が円安(ドル高)に動いているときには、高い利息と為替差益のダブルメリットが享受できますが、もしも今後円高に動く場面があれば、高い利息も為替差損で吹き飛んでしまうからです。急ぐ必要はありませんが、今回の円安を教訓に、今後、円高に振れたときにドル資産に換えておくということも考えておいたほうがいいでしょう。

たぱぞう
たぱぞう
たぱぞう 2000年より投資をスタート。2010年以降は、米国株中心の投資にシフト。2016年、自らの投資観をブログにて書き始める。現在平均月間100万PV。「誰でもできる投資術」「誰でもわかる海外投資」をモットーに執筆中。2019年刊の初著書『お金が増える 米国株超楽ちん投資術』がベストセラーに。近著に『経済的自由をこの手に! 米国株で始める 100万円からのセミリタイア投資術』(小社刊)、『初めてでも儲かるたぱぞう式投資のキホン』(きずな出版)など。YouTubeチャンネル「たぱぞう投資大学」の登録者数は現在19.9万人。 オフィシャルサイト:たぱぞうの米国株投資 SNS:@tapazou29

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