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「これは実質的な利上げではないか! 黒田が利上げに踏み切ったぞ!」

2022年12月20日、日銀の金融政策決定会合後に開いた黒田東彦総裁の会見を受けて、金融機関のディーリングルームは蜂の巣をつついたような騒ぎになった。黒田総裁がこの日、長期金利操作の許容変動幅を従来のプラスマイナス0.25%から0.5%に引き上げると表明したからだ。何の前触れもなくあまりに突然のことだっただけに、市場はこの発表を「サプライズ利上げ」と受け止めた。

黒田総裁が「⻑短⾦利操作の修正であって⾦利引き上げではない。⾦融緩和の出⼝でもない」といくら強調しても市場は聞く耳を持たなかった。変動幅を引き上げるということは長期金利の上昇を容認することを意味するからだ。そのため、その日の為替相場は1ドル=137円台から132円台まで円⾼が進み、⽇経平均株価は⼀時800円超も下げたほどだった。

市場が「利上げ」と受け止めた理由

そもそもこの発表を市場はなぜ「利上げ」と受け止めたのか、簡単に説明しておこう。

⽇本は世界的に見ても極めてイレギュラーな金融政策を採っており、中央銀⾏が10年物国債の⾦利をコントロールする「⻑短⾦利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)」を続けている。

ところがここ数カ⽉、10年物国債は「取引成⽴せず」が続いていた。というのも10年物国債に限っては、⽇銀が⾦利の上限を0.25%と定めていたため、⽇銀以外に国債の買い⼿がいなくなってしまっていたからだ。その反動として8年や9年物国債に対して、10年物の⾦利が低いままという歪んだ状態が続いていた。そのため今回、日銀はYCCが機能していないとして、10年物国債利回りの許容変動幅を0.25%から0.5%に拡⼤させたというわけだ。

確かにYCCの長期国債利回り変動幅拡大は、2016年9月にYCCが導入されて以降、段階的に実施されてはいる。そのため今回の措置も黒田総裁が言うように利上げではなく、YCC柔軟化策の一環と言えるかもしれない。

また2023年1月17〜18日の金融政策決定会合では、大規模な金融緩和策の縮小を見送っている。YCCを変更しなかったばかりか、本来、金融機関に対して国債を担保に低金利で資金を貸し付ける制度「共通担保資金供給オペ」を拡充することによって、日銀に代わる買い手として金融機関に国債の購入を促した。つまり利上げという市場の観測を否定してみせたわけだ。

しかし、そもそも黒田総裁は、YCCの変動幅拡大を通じた長期国債利回りの上昇を「実質利上げ」とし、景気を悪化させることから「実施しない」と明言し続けてきた。つまり言い出しっぺは日銀だったわけだ。それだけに、今回の決定が「実質利上げ」と受け止められるのも無理はない。しかも、今回の決定を受けた後もYCCの歪みは残ったままで、効果はあまりなかったことを付け加えておく。

ポスト黒田で変わるか、日本の金融政策