手術支援ロボット「ダビンチ」を有するインテュイティブサージカルは医療ロボット市場のトップ企業だ。コロナ禍で業績は一時停滞していたが、直近四半期では手術件数増で再び拡大路線に戻る兆しが見えてきた。今回は手術支援ロボットの現状とインテュイティブサージカルの魅力を見ていこう。
(1)2022年度は減益に
インテュイティブサージカルは、手術支援ロボットのトップメーカーである。2021年度は売上と営業利益で過去最高の数字を叩き出したが、ここ数年はコロナ禍で業績が停滞していた。そして、2022年度は減益決算。継続事業ベースの調整後EPSも伸び悩んでいる。医療現場の逼迫、手術減、サプライチェーンの品不足、ドル高によるコスト高などが停滞の主因だった(図1)。
しかし、足元では手術件数が上方修正されている。中国のゼロコロナ政策の解除もあり、アナリスト予想のEPSは今後3年、高い伸びを示している。
2022年決算は予想を下回り株安要因に
ISRGが2022年1月24日に発表した2022年第4四半期(10〜12月期)決算は、売上が前年同期比7%増の16.6億ドルと市場予想の16.8億ドルを下回り、 調整後EPS(一株当たり利益)は1.23ドルと市場予想の1.26ドルを下回った。実績EPSがアナリスト予想のコンセンサスを下回ったのは3四半期連続だ(図2)。コロナ禍で医療施設の経営が逼迫し、ダビンチの需要が減少した。ダビンチによる手術件数も中国のゼロコロナ政策で伸び悩んだ。
決算を受け、翌25日の株価は5.5%安と大きく売られた。2023年中に発売するとしていた新しいマルチポートの手術ロボットシステムを2023年度中には発売しないと発表したことも嫌気された。発売延期の要因は、いくつかの地域での法律認可の遅れと部品不足による。