本記事は、内藤誼人氏の著書『世界最先端の研究が教える新事実 人間関係BEST100』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
「好かれる」か「嫌われる」かは、自分の思い込みで決まる
初対面の人に会うときには、ちょっとしたコツがあります。
「たぶん好かれる」
「たぶん私は気に入ってもらえる」
そういう明るいことをイメージしながら会うようにするのです。すると、不思議なもので、本当に相手に好かれます。逆に、「私に否定的な態度をとってくるはず」「私が若造だから冷ややかに接してくるはず」などと考えていると、本当に相手はそういう態度をとってきますから、要注意です。こういう現象を、心理学では、「予言の自己成就」と呼んでいます。自分の頭の中で考えていたことが、そのとおりの結果になってしまう、という現象です。ですから、人に会うときには、好かれることだけ考えていたほうがいいのです。
カナダにあるウォータールー大学のダヌ・スティンソンは、お互いに面識のないメンバーで、5名1組のグループを作ってもらい、月に一度、マーケティング調査の一環として架空の商品について話し合ってもらう、という実験をしました。
このとき、スティンソンは、事前に「自分がどれくらい他のメンバーに受け入れてもらえると思いますか?」と尋たずねておいたのですが、「私は、受け入れてもらえる」と答えた人たちは、話し合いのときに、自分も温かな振る舞いをしていました。そのため、他のメンバーからも快く受け入れてもらえることがわかりました。ところが、事前の調査で、「私なんて、どうせ受け入れてもらえない」と答えていた人は、実際の話し合いにおいて、素っ気ない態度をとりやすく、それゆえ拒否されやすくなることもわかりました。まさしく、予言の自己成就どおりの結果になったわけです。
人に会うときには、たとえ根拠などなくとも、「私は気に入られるはず」と思っていたほうがいいかもしれません。そうやって思い込んでいると、その気持ちが自分の言動にもあらわれ、朗らかで、快活な態度で接することができるでしょう。
「自分は嫌われる」と思っていると、相手と目を合わせることをせず、やる気のなさそうな顔になります。そういう態度を見せるので、相手のほうも「なんだ、こいつ!」と不快感、嫌悪感を抱き、本当に嫌われてしまうのです。
好かれるか、嫌われるかは、自分の思い込みが決めるのです。良いタネを蒔いておけば、良い結果を収穫できますし、悪いタネを蒔いておくと、悪い結果しか得られないということを忘れないようにしたいです。
人の感情は左半分に大きくでる
「相手の感情が読みたい」
読者のみなさんは、そんなことを考えたことはないでしょうか。怒っているのか、それとも喜んでいるのか、そういう感情を読みたいのであれば、ちょっとしたコツを覚えておきましょう。顔の感情は、「本人の顔の左半分に大きくでる」というルールを覚えておけばいいのです。
私たちの顔というのは、真ん中で縦にわけると、感情は左半分のほうに強調してあらわれやすいようです。
米国ペンシルバニア大学のハロルド・サッケイムは、喜び、怒り、悲しみ、恐怖などの表情を浮かべた写真を使って、左半分だけでひとつの顔になるように合成した顔と、右半分だけを使ってひとつの顔になるように合成した顔を作りました。
その写真を86名の大学生に見せて、それぞれの感情の強さを7点で評価してもらったところ、どの感情をとっても、左側だけで合成した顔のほうが高かったのです。つまり、左側だけで合成した顔のほうが、感情が読み取りやすいといえるのです。
たとえば、相手が喜んでいるかどうかを知りたいとき、右半分の顔はまったく変わらないのに、左半分を見ると、口元が少し笑っていたり、目元が少しだけ下がっていたりすることがわかるかもしれません。もし右半分が笑っていなくても、左半分で笑っているのなら、その人は喜んでいるとみなして大丈夫です。
人間の感情は左半分にあらわれやすいということでいえば、人と並んで座るときには、相手が自分の左側にくるように、座らせてあげるといいかもしれません。というのも、顔の感情が左側にあらわれやすいということは、左の顔のほうが、右の顔よりも、より魅力的に見えるということだからです。
写真家や画家は、人の顔は左側のほうが魅力的に見えるということを知っていて、被写体を写真に撮ったり、モデルの肖像画を描いたりするときには、顔の左側が大きくなるように気をつけるものです。
ちょっとした心理テクニックですが、自分の魅力を相手に大きく感じてもらいたいのなら、自分の左半分の顔のほうを、相手によく見てもらうようにするといいでしょう。
※画像をクリックするとAmazonに飛びます