住宅価格や金利の上昇を背景にリアルアセット(実物資産)への関心が高まる中、コンテナを利用したコンテナハウスの世界市場が目覚ましい成長を遂げています。2026年までに680億ドル市場に成長すると期待されているコンテナハウスの将来性と、リアルアセットとしての可能性に迫ります。

日本と海外ではこんなに違うコンテナハウス

680億ドル市場に成長?リアルアセットとして注目高まる「コンテナハウス」
(画像=miyoshi/stock.adobe.com)

「プレハブ・モジュラーハウス」とも呼ばれるコンテナハウスは、その名の通りコンテナに内外装を施して住居用に改造したものです。近年は住宅以外にも店舗やオフィス、宿泊・リクレーション施設など、その用途は広がっています。一口にコンテナハウスといっても、海外のものと日本のものは大きく異なります。

海外のコンテナハウス

通常、海外のコンテナハウスには耐久性が高いスチール製の中古輸送用コンテナが使用されます。家のサイズに合ったコンテナを現場に輸送して設置工事を行うため工期が大幅に短縮され、従来の住宅に比べるとコストが低いというメリットがあります。

もう一つのメリットは、環境に優しいサステナブルな建築法であることです。さまざまなサイズやデザイン、輸送手段があるため一概にはいえませんが、従来の新築住宅の建設では通常15~100トン のCO2が排出されます。これに対し、コンテナハウスは中古コンテナを再利用するため資源やエネルギーの使用量が少なく、CO2排出量を大幅に削減することができます。

移動できるコンテナハウスもあるため、引っ越しのたびに家を変える必要もありません。輸送コンテナハウスのデメリットは、サイズや形状がほぼ均一に設計されているため、デザインや広さが限られていることです。また気候に影響を受けやすく、腐食に対して脆弱性であるため、平均寿命は10~15年(頻繁に利用する場合)と従来の住宅より短めです。

日本のコンテナハウス

かつては日本でも海上輸送用の中古コンテナが使用されていましたが、現在は日本の建築基準法に準拠して重量鉄骨造用に製造された、新品の「建築用コンテナ」 が使用されています。

海外のコンテナハウスと比べると耐震性や耐久性、機能性、カスタマイズ性が高い反面、コストや労力がかかり、環境への負荷も大きくなります。寿命は、重量鉄骨造の法的耐用年数である34年と定められています。

日本においても古コンテナを使用することはできますが、建築確認申請の許可を取得するために施工や補修を行う必要があり、新品の建築用コンテナを使用する場合よりもコストが高くなってしまうケースがほとんどです。

世界のコンテナハウス市場、2026年には680億ドル規模に?

先進国を中心に住宅価格が上昇している近年、「手頃な価格でマイホームを所有したい」という消費者の間でコンテナハウスの需要が高まっています。コンテナハウスが「サステナブルな次世代建築法」として注目されていることも、大きな追い風となるでしょう。

国際市場調査企業Research and Markets(リサーチ・アンド・マーケッツ)の予想によると、世界のコンテナハウス市場は、2023年から年平均成長率7.3%というペースで成長し、2026年には679億6,000万ドル(約8兆8,348億円)に達する見込みです。

海外のコンテナハウス企業4社を紹介

海外のように住宅事情がひっ迫していない日本においても、コンテナを利用した住宅や店舗などが増えており、リアルアセットとしての注目度が高まっています。住宅事情や規制環境は異なるものの、コンテナ先進国である海外のコンテナハウスの事例から、一歩先行くトレンドや課題が見えてくるかもしれません。

ここでは、4つのコンテナハウス企業を見てみましょう。

コンテナハウス企業1. CargoHome(米国)

CargoHome(カーゴホーム)は、スタイリッシュな小型コンテナハウスのスペシャリストです。顧客は3つのスタンダードモデルの他、内外装のオプションやカスタムデザインも選択できます。同社はコンテナハウスをゲストハウスとして貸し出す、仲介サービスも提供しています。

コンテナハウス企業2.Custom Container Living(米国)

Custom Container Living(カスタム・コンテナ―・リビング)は、従来の家に見劣りしないデザイン性の高いカスタム・コンテナハウスです。カスタムメイドのコンテナハウス用暖炉や家具など、内装用の装飾品も販売しています。

コンテナハウス企業3.Cargo Tech(英国)

Cargo Tech(カーゴテック)は資源の再利用と環境への影響に重点を置いた、サステナブルなコンテナハウス企業です。同社のコンテナハウスはISO(国際標準化機構)規格のコンテナを使用し、従来の建築と同じ基準で多くの国の建築規制(※)に準拠して設計されています。

(※)日本においてはJIS(日本産業規格)が適用される。

コンテナハウス企業4.Domino Homes(ラトビア) 

Domino Homes(ドミノ・ホームズ)はエネルギー効率が高く、高品質のコンテナハウスを提供しています。高品質の素材と生活空間を有効的に使えるデザインで、注文から完成までわずか2~3ヵ月というスピードも魅力です。

新たな価値観を創造するリアルアセット

コンテナハウス市場は伝統的な住宅市場の常識を覆し、新たな価値観を創造するリアルアセットとして、今後さらに進化することが予想されます。

海外においては、より効率的で快適かつ革新的なコンテナハウスを設計する意図で、人工知能(AI)を活用するコンテナハウス企業も増えています。このような分野も、今後は投資対象として注目が高まるでしょう。Wealth Roadでは引き続き、リアルアセットとしてのコンテナハウスの可能性に注目していきます。

※為替レート:1ドル=130円
※上記は参考情報であり、特定企業の株式の売買及び投資を推奨するものではありません。

(提供:Wealth Road