◉より自社に合った保険の選び方


以上のことを踏まえて、保険商品や保険会社を選ぶべき基準を考えてみましょう。
個人的な考えでは、節税率の大きい、つまり半損で解約返戻金の額が多い保険商品を選ぶことがまず大事ではと思います。また上述の通り、いつ企業として解約する予定なのかを考えておくことが極めて重要です。自社の解約する予定時期に、契約払戻金がピークとなる逓増定期保険を選ぶことも大切でしょう。

なお、解約返戻金が早期に大幅に上昇する逓増定期を扱っているのは、 マスミューチュアル生命 マニュライフ生命 メットライフアリコ などと言われています。(現在はほぼすべての保険会社で逓増定期保険を取扱しています。)

また、3分の1損金計上の逓増定期保険の中では、解約返戻金が大きい時期が長く続く商品を第一生命などが販売しています。こちらは、短期でも、長期でも一定以上の解約返戻金が貰える逓増定期保険です。

他に、この商品は、何年か経ったら解約をすることが前提になっている商品ですので、企業として逓増定期保険に入るタイミングも重要になります。もちろん、経営者の保障が年々逓増的に必要で、しかも保険期間満期時に解約返戻金がゼロになっても良いのであれば、そのまま最後まで続ける企業もあるかもしれませんが、逓増定期保険を選択する企業は極めて稀というのが実際です。


◉名義変更など使い勝手の良い利用法


また、「名義変更プラン」というのも保険会社によっては勧めているケースが見かけられます。
これは、解約返戻金が急に増大する直前に、入っている逓増定期保険の契約者名義を企業から個人に変更してしまうものです。そうすることで、企業は節税ができ、個人(例えば経営者)は、名義変更した後の解約返戻金が増大する期間にその保険を解約することで、個人に資金を入れることになります。
また解約をせずにそのまま継続していれば、ご自身の相続対策として活用できる可能性も高まります。

また、保険会社によっては、個人に名義変更した後の数年間は、契約者貸付(つまり解約返戻金の範囲内で保険料を貸付)を利用して、個人の負担なく続けられる保険商品もあります。
逓増定期保険も種類が豊富になってきましたので、各社の比較を行うことでご自身のニーズを満たす商品を探しやすくなったのかもしれません。

尚、逓増定期保険の損金割合は、保険の種類に応じて下記のように計上することになります。

※ 国税庁ホームページより筆者作成

以上、逓増定期保険に関するまとめをお届けしました。

最後に、簡単に注意点をお伝えしたいのですが、逓増定期保険のメリット(節税効果)を享受するためには、契約払戻金を受け取るタイミングで、大きな出費の予定があるなど、出口戦略が明確となっている必要があります。
しかし、残念ながら保険の営業マンの中には、きちんとした出口戦略の策定といったコンサルティングプロセスを踏むこと無く、営業をかけてくる方も多いのが現状です。というのも、逓増定期保険が営業マンにとってキックバック率の高い保険というのも原因の一つなのでしょう。

そのような担当者を避け、良い担当者に巡り会うための努力も重要だと言えるでしょう。

BY F.U

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