牛丼「すき家」や回転ずし「はま寿司」などを運営するゼンショーホールディングス<7550>が、食材などの仕入れ費用などからなる原価率、販売に伴う費用や人件費、家賃、水道光熱費などからなる販売費及び一般管理費(販管費)率を低下させている。

これによって2023年3月期の営業利益が、コロナ禍の影響の少なかった2020年3月期を上回る公算が大きくなった。すでに売上高は2022年3月期にコロナ禍前をクリアしており、売り上げ、利益揃ってのコロナ越えが鮮明になった。

利益に大きな影響を及ぼす食材価格の上昇やエネルギー、輸送費の高騰など物価高の逆風の中で増益に転じたわけで、その推移を見てみると。

大幅な増収が背景に

ゼンショーは2023年2月10日に2023年3月期の第3四半期決算を発表した。それによると同期の原価率は47.12%で前年同期と比べ0.14ポイント低下しており、コロナ禍真っ只中の2022年3月期と比べても0.8ポイント低くなった。42%台で推移していたコロナ禍前の水準には届かなかったものの円安やウクライナ情勢などによって原材料価格が上昇する中で反転を実現した。

他方、販管費率は大きく低下した。同期の販管費率は50.35%で、前年同期と比べて0.18ポイント下がり、前年度と比べても1.03ポイント下がった。コロナ禍の影響が全くなかった2019年3月期は53.91%、2020年3月期は54.22%だったため、コロナ禍前よりも4ポイントほど改善したことになる。

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)

この原価率、販管費率低下の背景には大幅な増収がある。2023年3月期第3四半期の売上高は前年同期と比べ17.5%アップした。すき家などの牛丼部門では11.5%の増収に、「ココス」などのレストラン部門では27.1%の増収に、「はま寿司」などのファーストフード部門では27.3%の増収になるなど主力の外食事業がいずれも好調に推移した。

この結果、同社では2023年3月期は予想通りの売上高7455億4900万円(前年度比13.2%増)、営業利益250億円(同2.7倍)、経常利益246億7300万円(同6.7%増)、当期利益140億2700万円(同1.1%増)を達成できる見込みだとしている。

ただ、年度末となる3月に向けて食品をはじめ多く商品で値上げが予定されており、この影響によっては、下振れする懸念もある。

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(画像=「M&A Online」より引用)

文:M&A Online編集部