ケリングの2022年12月通期決算が2月15日に発表になった。主要数字は以下の通り。1ユーロ=140円換算。
・売上高:203億5100万ユーロ(約2兆8491億円4000万円、前年比+15%、為替変動などを考慮した前年と比較可能な前年比+9%)
・経常利益:55億8900万ユーロ(約7824億6000万円、前年比+11%)
・親会社株主に帰属する当期純利益:36億1400万ドル(約5040億円、前年比+14%)
すでに前年の2021年12月決算時に、コロナ禍前の2019年12月決算をクリアしていたので、2022年12月期はそれに続いて順調に史上最高決算を更新していると言える。Eコマースを含めた直営ビジネスの売り上げは比較可能な前年比で+10%だった。特に西ヨーロッパと日本がこの増収に貢献したという。しかし第4四半期については、売上高は-2%、比較可能な前年比では-7%と減収しているのが注目される。
この第4四半期の減収の原因になったのが、ケリングの総売上高の半分を占め屋台骨を支える「グッチ(GUCCI)」の不振だった。第4四半期における「グッチ」の売り上げは比較可能な前年比で-14%になっている。直営店においては-15%となっており、ゼロコロナ政策の混乱の中で特に売り上げの比重が大きい中国市場の不振が影響したとケリングは見ている。ケリングは11月に「グッチ」のクリエイティブ・ディレクターだったアレクサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)の退任を発表し、今年1月28日にはその後任にサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)が就くことを発表している。
なお「グッチ」の2022年年間の売り上げは105億ユーロ(前年比+8%、比較可能な前年比で+1%、約1兆4700億円)だった。その直営ビジネスは+1%(比較可能な前年比)で、卸売りビジネスは前年と同じだった。また「グッチ」の経常利益は37億ユーロ(5180億円)で粗利益率は35.6%だった。
ケリングにおいて「グッチ」に次ぐ第2のブランドの「サンローラン(Saint Laurent)」の2022年における売り上げは、33億ユーロ(約4620億円)と前年比+31%で比較可能前年比では+23%と大きな進捗を見せた。直営ビジネスは+28%、卸売りビジネスは+6%だった。「サンローラン」の第4四半期のビジネスは比較可能な前年比で+4%、直営ビジネスでは+7%、卸売りビジネスでは-13%だった。「サンローラン」の年間の経常利益は10億ユーロ(約1400億円)を超え、また粗利益率も30%を超えた。
ケリングの第3のブランド「ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)」の2022年の売上高は17億ユーロ(約2380億円、前年比+16%、比較可能な前年比+11%)だった。直営ビジネスは比較可能な前年比+15%、卸売りビジネスは前年比横バイだった。同ブランドの第4四半期の売上高は比較可能な前年比で+6%、直営ビジネスは+4%、卸売りビジネスは+13%だった。同ブランドの年間の経常利益は3億6600万ユーロ(約512億4000万円)、粗利益率は21%だった。
以上の3大ブランド以外のケリングのブランドの売り上げは約390億ユーロ(約5460億円、前年比+18%、比較可能な前年比+16%)だった。「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は厳しかった12月商戦にもかかわらず通期では好調だった。「アレキサンダー マックイーン(Alexander McQueen)」はハンドバッグとプレタのカテゴリーで好調、「ブリオーニ(Brioni)」は復活を印象付けた2022年だった。
ケリング傘下のジュエリーブランドの2022年については再び、驚異的な進捗を見せた記念すべき年だったと言える。「ブシュロン(BOUCHERON)」は堅調な歩みを続け、「ポメラート(Pomellato)」は西ヨーロッパと日本において成長を続け、そして「キーリン(Qeelin)」は卓越したクラフトマンシップと中国を象徴するモチーフが好評で成長スピードを早めている。
3大ブランド以外の第4四半期の売り上げは比較可能な前年比で-4%だった。また2022年のトータル経常利益は5億5800万ユーロ(約781億2000万円)で前年比+22%だった。粗利益率は14.4%だった。
ケリングのアイウェア部門の2022年の売り上げはついに10億ユーロを突破して、前年比+58%、比較可能前年比+27%の11億ユーロ(約1540億円)に急増。「リンドバーグ(LINDBERG)」と「マウイ ジム(Maui Jim)」の貢献が大きい。その2022年における経常利益は2021年の2.5倍になる2億300万ユーロ(約284億2000万円)だった。