ゼンショーホールディングス<7550>は子会社のゼンショーファストホールディングスを通じて、ハンバーガーチェーンのロッテリア(東京都新宿区)を2023年4月に買収する。

ゼンショーでは、同社グループの食材調達や物流、店舗運営機能などと、日本国内で358店舗(2023年1 月1 日時点)を展開するロッテリアとの相乗効果を見込んでおり、ロッテリアがゼンショーグループに入ることで事業拡大や発展に寄与できるとしている。ゼンショーとはどのような企業なのか。

買収で事業を多角化

ゼンショーは1982年に横浜市で創業、その年に弁当店の「ランチボックス」と、牛丼の「すき家」を開店したあと、2002年に主力事業の一つである「はま寿司」を立ち上げた。同社は、この他にも多くの外食事業を手がけており、その多くは買収によって事業化したものだ。

2000年にファミリーレストランの「ココス」の株式を取得したのを皮切りに、2001年に肉の専門レストランの「ぎゅあん」を、2002年にファミリーレストランの「ビッグボーイ」を、2007年にパスタ専門店の「ジョリーパスタ」を傘下に収めた。

さらに2008年には和食レストランの「華屋与兵衛」の株式を取得し、2010年には親子丼などの丼物を中心とする和風ファストフード店の「なか卯」子会社化した。

この他に現在展開しているブランドとしては、焼肉レストラン、ラーメン店、とんかつ専門店、コーヒーショップなどがあり、これに4月からはハンバーガー店が加わることになる。

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)

帝国データバンクの調べによると、ロッテリアは2021年3月期に当期損益が4億5000万円の赤字に転落したが、2022年3月期には7億5600万円の黒字に転換した。

売上高もコロナ禍の影響の少ない2020年3月期には及ばないが、2021年3月期の約175億8100万円から2022年3月期は189億1000万円となり、回復の兆しを見せている。この数字がゼンショーの2024年3月期の業績に加わることなる。

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(画像=「M&A Online」より引用)

一方、ゼンショーの業績は好調で、2023年3月期は売り上げ、利益ともにコロナ禍の影響の少なかった2020年3月期の実績を上回る見通しだ。さらに食材などの仕入れ費用などからなる原価率と、販売に伴う費用や人件費、家賃、水道光熱費などからなる販売費及び一般管理費(販管費)率が低下しており、物価高の中にありながら収益力を高めている。

ロッテリアは収益力の高いゼンショーの傘下に入ることで、業績の回復が加速する可能性があり、ゼンショーもハンバーガーという新しい業態を手に入れることで、外食最大手の座がより強固なものになりそうだ。

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(画像=「M&A Online」より引用)

文:M&A Online編集部