個人向けサービスも拡充し、BtoBにつなぐ

こうしたBtoBソリューションサービスで法人顧客を獲得するためには、企業が求める情報を持たなければならない。そうしたBtoBの「飯のタネ」とも言えるものが、個人向け情報サービスでフィードバックされる情報だ。例えば、あるコンテンツやサービスをどのような属性の個人がいつ、どこで、どうやって利用しているのかも重要な情報、すなわち「売り物」になる。その「情報収集」の入口となる個人向け情報サイトもM&Aで拡充している。

2011年12月にZホールディングス傘下のLINEから、ライブドア事業を72億円で取得した。対象はブログサービス「ライブドアブログ」、ニュースサイト「livedoorニュース」、韓国エンターテインメントニュースサイト「Kstyle」を中心としたサービス群。ミンカブはLINEが当該事業を会社分割して設立する新会社ライブドアの全株式を取得し、子会社化する。

ライブドア事業の月間利用者数は約7000万人、SNSのフォロワー数は2400万人に上る。ミンカブはライブドア事業を取り込むことで、既存ユーザーと合わせて8000万人規模のユーザー基盤を持つ国内有数のネットメディアグループとなる。ミンカブは事業の成長加速のために、従来の金融・経済分野にとどまらず、さまざまな分野・テーマへの展開が必要と判断した。

2023年2月に、そのライブドアを通じてスマートフォンアプリ開発のGINKANが運営するWeb3グルメアプリ事業「シンクロライフ」を取得することを決めた。グルメ分野でのサービス拡充につなげるのが狙い。「シンクロライフ」は飲食店のレビュー投稿などで仮想通貨を稼ぐことができる「Eat to earn(食べるために稼ぐ)」型プラットフォーム。事業取得の方法や取得価額は今後詰める。2023年3月末までの取得を目指す。

同月には、コーエーテクモホールディングス傘下でサッカー情報専門メディア「超WORLDサッカー!」を運営するCWS Brainsの全株式を取得し子会社化することも決めた。ライブドアのスポーツ分野におけるネットメディアサービスの拡充を狙う。「超WORLDサッカー!」は月間ユニークユーザー数が約1000万人に上るという。2023年3月末までに取得を完了する予定だ。

法人向け事業と個人向け事業の相互作用による持続可能な情報サービスを提供することで、同社の業績は着実に成長している。2022年3月期には売上高が50億円を突破、営業利益、経常利益、純利益もそろって増益している。今後も法人向け、個人向けの双方でM&Aを推進して、安定成長を目指すことになるだろう。

◎ミンカブ・ジ・インフォノイドの業績推移(単位 億円)

2020年3月期2021年3月期2022年3月期
売上高27.9141.5954.82
営業利益
5.23
7.60
8.75
経常利益
5.04
7.34
8.29
純利益
4.48
5.64
6.96