まさに「怒涛のM&A」である。「MINKABU(みんかぶ)」や「株探(Kabutan)」など投資家向けメディア事業の運営と金融機関を中心顧客とした情報ソリューションの提供を手がけるミンカブ・ジ・インフォノイド<4436>が、2023年3月期に入って5件ものM&Aを実施しているのだ。その狙いは何か?

BtoBサービスで経営基盤の安定図る

同社は2006年7月、マスチューとして設立。「情報の価値を具現化する」という企業理念のもと、後に日本最大級の投資家向け情報メディアとなる「みんなの株式」を立ち上げた。当初は個人投資家向けメディアサービスを提供していたが、2014年8月にインターストラクチャーを連結子会社化。大手証券・金融ポータル事業者向けのB2Bソリューションサービスに進出する。

実はこれが賢明な選択だった。金融に限らず、あらゆる個人向け(B2C)メディアサービスは行き詰まる運命にある。ネックは「課金問題」だ。より良いサービス、より豊富な情報を提供しようとすれば、当然ながらコストがかかる。しかし、個人向けの情報サービスは無料であれば成長するが、有料化すると利用者は激減する。さらに有料化しても、個人相手の課金額などたかがしれている。

広告収入に期待するしかないが、新聞、ラジオ、テレビ、雑誌と同様にインターネット広告市場も頭打ちだ。そうなればサービスを提供するための投資や運用資金を抑えざるを得ず、それが顧客離れを生む。個人相手の情報サービスは持続可能性が低いのだ。情報サービスが生き残るには、固定客であり経費として高額の利用料金を支払える法人向けのBtoBソリューションサービスへ転換するしかない。

2020年6月には投資信託業務のRPA(ロボットによる業務自動化)サービスを提供するロボット投信の第三者割当増資を引き受け、株式50.14%を2億5800万円で取得して子会社化した。ロボット投信は2016年の設立で、RPAを通じて投資信託の運用会社や販売会社の業務効率化を目的とするスタートアップ企業。当時すでに複数の金融機関に導入実績があったが、事業基盤は脆弱な状態にあり、黒字化がほど遠かった。

ミンカブ・ジ・インフォノイドの主な沿革(2022年3月期 有価証券報告書より)
2006年7月 前身のマスチューを設立
2007年4月 投資家向けソーシャルメディア型株式情報サイト「みんなの株式」を開設
2009年6月 AIを利用した「株価診断」機能を導入
2012年3月 みんかぶに社名変更
2014年8月 大手証券・金融ポータル事業者向けB2Bサービスのインターストラクチャーを連結子会社化
2014年10月 投資家向け株式情報配信サイト「Kabutan(株探)」を事業譲受により取得
2016年3月 インベステックの金融情報配信事業部門を事業譲受で取得。同時に同社完全子会社の日本先物情報ネットワークの全株式を取得し、商品先物・FX情報分野のソリューション事業に参入
2018年11月 ミンカブ・ジ・インフォノイドに社名変更
2019年3月 東京証券取引所マザーズに株式を上場
2019年12月 Prop Tech plusを連結子会社化し、不動産投資信託(REIT)分野のソリューション事業に参入
2020年6月 ロボット投信を連結子会社化し、投資信託運用会社・販売会社向けデジタルソリューション事業を拡大
2021年9月 資産形成層向け金融商品仲介業の展開を目的にミンカブアセットパートナーズを設立
2022年5月 BANQのNFT部門を新設分割して設立したWEB3 WALLET(現ミンカブWeb3ウォレット)を連結子会社化して、Web3ソリューション事業に参入