米環境ニュースサイトのClean Technicaによると、2022年1〜12月の電気自動車(EV)世界販売で、米テスラがトップを死守した。しかし、中国の比亜迪(BYD)がテスラを猛追しており、2023年は逆転される可能性が高そうだ。一方、日本勢は上位に食い込めず、出遅れ感が強まっている。

EVトップのテスラにBYDが猛追、今年は入れ替わりも

昨年のEV世界販売ランキングは、1位が131万4330台のテスラ、2位が91万3052台のBYD、3位が67万1725台の上海汽車集団(SAIC)、4位が57万1067台の独フォルクスワーゲングループ(VW)、5位が38万3936台の中国・吉利ボルボの順だった。

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(画像=日本市場にもEVを引っさげて上陸した中国BYD(同社ホームページより)、「M&A Online」より引用)

ただ、プラグインハイブリッド車(PHV)を合わせた電動車では184万7745台を販売したBYDが、131万4330台だったテスラを追い抜いて首位に立った。テスラはPHVを販売していない。BYDはPHVからEVへの移行を進めており、今年はEV単独の販売台数でもテスラを追い抜く可能性がある。


普及EVでは中国勢、高級EVではドイツ勢に挟撃されるテスラ

BYDは先進国メーカーよりも安いEVを投入しており、テスラは昨年、インフレにもかかわらず値下げを断行してBYDに対抗した。日本では「モデルS」と「モデルY」を最大80万円以上値下げしている。しかし、このやり方は長くは続かないだろう。テスラが首位を堅持するためには、新たな低価格モデルを追加する必要がある。

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(画像=猛追するBYDに対抗するため、テスラは「モデルY」など主力車種を大幅値下げした(テスラホームページより)、「M&A Online」より引用)

さもなければ収益性の高い「高級EV」のカテゴリーでトップを取るニッチ戦略に方向展開するしかない。が、その道も険しそうだ。高級EV(PHVを含む)メーカーでは、独BMWが37万2694台の5位、独メルセデス・ベンツが29万3597台の6位と、テスラとの差はまだ大きいものの追い上げをかけている。大手高級車メーカーが一気にEVシフトへハンドルを切ったことで、テスラの「先行者メリット」は次第に失われつつあるのが現状だ。

自動車販売世界一のトヨタですら、EVでは20位に入れず

日本車メーカーはEV単独ではもちろん、PHVを含めた世界ランクでもベスト20圏内に入っていない。2022年に世界自動車販売トップだったトヨタ自動車のPHV・EV・燃料電池車(FCV)世界販売は11万8736台。20位の仏プジョーは12万9910台で、トヨタがベスト20にランクインするには1万1000台以上足りなかった。

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(画像=「bZ4X」を投入したトヨタはじめ、日本車メーカーのEVは品そろえ、生産台数ともに足りない(トヨタ自動車ホームページより)、「M&A Online」より引用)

文:M&A Online編集部