ソーシャルビジネス化するプロスポーツ
三井不動産<8801>とプロ野球球団の巨人を所有する読売新聞社が東京ドームを株式公開買い付け(TOB)で買収したのも、再開発を含む不動産としての運用だった。DeNAも2026年春にオープンする横浜スタジアム周辺の「横浜市旧市庁舎街区活用事業」に参画するなど、球場を核とする不動産ビジネスを本格化する。川崎ブレイブサンダースでも、試合以外での活用を織り込んだ新アリーナの建設を検討している。
収益化につながるビジネスモデルが見えてきたことで、主にIT企業による事業投資としての国内プロスポーツチーム買収が活発になっている。
サッカーでは2018年にメルカリ<4385>が鹿島アントラーズを、2019年にはサイバーエージェント<4751>がFC町田ゼルビアを、2020年にはヤフーが横浜FCを買収。バスケットボールでは2022年にセガサミーホールディングス<6460>がサンロッカーズ渋谷を、識学<7049>が福島ファイヤーボンズをそれぞれ買収した。
収益化が可能なプロスポーツチームの買収は、投資する親会社に収益をもたらすだけではない。選手の生活やライフプランの向上、本拠地となる都市の活性化、関連事業の拡大による経済効果など、社会的なメリットが大きい。スポーツ振興とまちづくりを実現するソーシャルビジネスとも言える。
プロ野球の買収には数百億円かかるが、プロサッカーは50億円、プロバスケットは10億〜20億円と大手企業の買収案件としては手を出しやすい。さらに買収価格が安い女子サッカーやバレーボールなどの買収であれば、大手企業でなくても買収できる。プロスポーツチームの買収は、さらに加速するだろう。
文:M&A Online編集部