八木通商は、イタリアのカジュアルブランド「C.P.カンパニー(C.P.COMPANY)」の独占輸入販売権及びマスターライセンス権を取得し、子会社のスープリームスインコーポレーテッドによる日本展開を2024年春夏コレクションから行うことになった。今回八木通商が契約したのはトライステート インターナショナルSA社だ。C.P.カンパニー社は2015年に香港を拠点にするトライステートホールディングス(Tristate Holdings)に買収されているが、トライステート インターナショナルSAはそのイタリア子会社で「C.P.カンパニー」の事業を実際に行っている企業で、社長は創業者マッシモ・オスティの息子のロレンツォ・オスティだ。
なお、「C.P.カンパニー」の日本でのビジネスは、現在トライステート ジャパンが行なっている。直営展開も行っていたが、現在は卸売りだけの展開になっている。かつては三和トレーディング、豊田貿易といった企業が「C.P.カンパニー」のビジネスを日本で行っていたが、なかなか本格化はしなかった。今回八木通商が手掛けることで本格化が期待される。
八木通商の八木雄三社長は「1971年創始の『C.P.カンパニー』はラグジュアリーカジュアルの扉を開いたブランドとも言えるが、今まさにその時代がやって来た。その本格的日本展開を我々が担うことができて光栄だ」と述べている。
「C.P.カンパニー」は、故マッシモ・オスティ(1944~2005)によって1971年に誕生した。マッシモ自身がアパレルのデザイナーではなくグラフィックデザイナーだったことで、全く独創的なカジュアルウェアが誕生した。ちなみにCPとは当初使用していた「チェスター ペリー(Chester Perry)」のこと。さらに1978年に「C.P.カンパニー」へ改名。C.P.とは「Color of Passion」の略になっている。世界で初めてガーメント・ダイ(製品染色)を始めたマッシモらしい命名だ。このガーメント・ダイの他にも、生まれ故郷のボローニャにある「マッシモ・オスティ・アーカイブ」には5000の製品と5万を超えるファブリックサンプルが保存されている。
この他にも、マッシモは数々の「アイコン」を遺産として残している。その代表的なものが1988年に登場したゴーグルジャケット(正式にはクラシックカーレースのミッレミリアのスポンサーを務める際に誕生したので「ミッレミリア」)だ。フードと袖にレンズが取り付けられている。袖のレンズは腕時計が見やすいようにというディテールだ。この他にも、フードがガスマスク風になったディストピアモチーフの「メトロポリス」なども「C.P.カンパニー」のアイコンと言える。ミリタリーやワークウェアがベースになったブランドだが、カジュアルブランドなのに、こうしたレジェンド、アーカイブやアイコンがラグジュアリーブランドのように存在するところが「ラグジュアリーカジュアル」の強味だと言える。世界中に熱狂的な「C.P.カンパニー」ファンがいる所以だ。
スープリームスインコーポレーテッドでは、初年度に上代で5億円、5年後に上代60億円の売り上げを目指している。現在八木通商の主力ブランドである「モンクレール」「マッキントッシュ」に続く大型ブランドとして期待しているようだ。2024年1月には、東京原宿の明治通り沿いに67坪、神戸トアロードに40坪弱の路面店をそれぞれオープンする。従来からのファンである40~50代以上の顧客に加えて20~30代の層に向けたアプローチを強化したいと八木通商。