ハンバーガーチェーン大手2社が値上げを繰り返している。モスバーガーを運営する業界2位のモスフードサービス<8153>は2023年3月24日にハンバーガーやフライポテトなどを10-50円値上げする。この1年間では2022年7月に続く2回目の値上げとなる。マクドナルドを運営する業界トップの日本マクドナルドホールディングス<2702>は、2022年3月、同年7月、2023年1月とこの1年間に3度の値上げを実施した。

いずれも原材料価格や物流費、人件費などの上昇が理由で、値上げによって業績を安定させ財務内容の悪化を防ぐのが狙いだ。

モスバーガーが値上げする3月24日をはじめ翌日の25日、翌々日の26日は、多くの小学校、中学校、高校が2週間ほどの春休みに入る。大学もこの期間は春休み中で、外食店を利用する若者が増えるのは確実。若者は両社の取り組みを支持するのか。春の戦いに関心が集まる。

値下げする商品も

モスバーガーは2022年7月に原材料価格の高騰などを理由に値上げを実施したが、その後もコストアップが続いていることから8カ月ほどで再度の値上げを決めた。「モスバーガー」は410円から30円アップの440円に、「とびきりチーズ~北海道産ゴーダチーズ使用~」は490円から50円アップの540円に改める。

一方でフレンチフライポトトはMサイズを新たに投入するためSサイズの内容量を減量したうえで250円から240円に10円値下げする。「こだわりサラダ」も310円から300円に10円下げる。エントリー(初心者向け)商品である「バンバーガー」の価格は240円を据え置き、ドリンクの「ジャンジャーエール」も価格を変更しない。全商品106品のうち78品の価格を改定する。

マクドナルドも2022年の3月と9月に値上げをしたが、原材料価格などが高騰していることから2023年1月に全商品の約8割を対象とする3度目の値上げを実施した。この結果「ハンバーガー」は150円が170円に、「マックフライポテトSサイズ」は160円が190円に、「炭酸ドリンクSサイズ」は100円が120円になった。

値上げで増益へ

マクドナルドは2022年に2度の値上げを実施したものの、原材料価格などの値上がりの影響を吸収できず、2022年12月期の営業利益は前年度比2.1%の減益を余儀なくされた。

値上げに加えコストダウンに取り組んだ結果、販売費及び一般管理費(販管費=販売に伴う費用や人件費、家賃、水道光熱費など)の売上高に占める割合を示す販管費率は0.43ポイント改善したものの、原価(食材などの仕入れ費用など)が売上高に占める割合を示す原価率は1.7ポイント悪化したことが足を引っ張った。

これに対し2023年12月期は1月に値上げした効果などが現れ、営業利益は3.5%の増益を、売上高は6.2%の増収を見込む。フランチャイズ店を含む全ての店舗の売上高は7700億円(前年度比7.3%増)となり、過去最高を更新する見通しだ。

モスバーガーも7月に値上げをしたが、2023年3月期第3四半期(2022年4月-12月)は70.5%もの営業減益に陥った。前年同期と比べ販管費率は1.0ポイント、原価率は2.7ポイント悪化したことから大幅な減益となった。前年度(2022年3月期)と比べても、販管費率は0.3ポイント、原価率は2.6ポイント悪化した。

モスバーガーが実施する値上げは3月24日のため、2023年3月期の決算に及ぼす影響は小さく、本格的な値上げの効果が現れるのは2024年3月期になる。モスバーガーはマクドナルドと同様に増収増益を達成することはできるだろうか。

文:M&A Online編集部