Speedwayの取得で業績が急伸
セブン&アイは1920年に東京・浅草で洋品店「羊華堂」を開業したのが始まりで、2005年にセブン&アイ・ホールディングスがスタートし、同年にセブン‐イレブン・ジャパンが米国7‐Eleven, Inc.を完全子会社化したのを機に積極的にM&Aに取り組み、業容を拡大してきた経緯がある。
翌年の2006年には、そごう・西武、ヨークベニマルを完全子会社化したのをはじめ、2007年には赤ちゃん本舗を、2015年にはバーニーズ ジャパンを、2016年にはニッセンホールディングスをそれぞれ子会社化した。2021年にコンビニのSpeedwayを取得し業績が大きく伸びたことから、総合小売業の旗を降ろしコンビニ事業に集中する作戦に転換した。
年 | セブン&アイ・ホールディングスの沿革と主なM&A |
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1920 | 東京・浅草で洋品店「羊華堂」を開業 |
1958 | ヨーカ堂(現イトーヨーカ堂)を設立 |
1973 | ヨークセブン(現セブン‐イレブン・ジャパン)を設立 |
2001 | アイワイバンク銀行(現セブン銀行)を設立 |
2005 | セブン&アイ・ホールディングスを設立 |
2005 | 米国7‐Eleven, Inc.を完全子会社化 |
2006 | ミレニアムリテイリング(現そごう・西武)を完全子会社化 |
2006 | ヨークベニマルを完全子会社化 |
2007 | ロフトを子会社化 |
2007 | 赤ちゃん本舗を子会社化 |
2015 | バーニーズ ジャパンを完全子会社化 |
2016 | ニッセンホールディングスを完全子会社化 |
2021 | 米コンビニのSpeedwayを取得 |
2022 | セブン‐イレブンが世界で8万店舗を突破 |
海外コンビニ事業は70.2%の増収
コンビニ事業の好調さに支えられ、セブン&アイは2023年2月期の業績予想を上方修正し、売上高を11兆8120億円(2023年2月期から会計基準を変更。旧基準だと売上高は12兆4980億円)に引き上げた。増収率は35.0%に達する大幅な伸びとなる。
最も伸びの大きいのが海外コンビニ事業で70.2%の増収。国内のコンビニ事業も健闘しており2.0%の増収を見込む。半面、事業の売却や縮小を実施する百貨店やスーパーは厳しい状況にあり、百貨店・専門店事業は34.4%、スーパー事業は20.2%のいずれも2ケタを超える減収となる。
増収に伴い利益の方も大きな伸びを見込んでおり、営業利益は29.0%増の5000億円、経常利益は30.4%増の4675億円、当期利益は32.8%増の2800億円を予想する。
この好調な業績に伴って中期経営計画の目標数字も見直した。2026年2月期に、営業利益に減価償却費とのれん償却費を加えたEBITDAを当初の1兆円以上から1兆1000億円以上に修正。自由に使うことのできる現金であるフリーキャッシュフローは当初の4000億円以上から5000億円以上に、自己資本に対する当期利益の割合を指すROEは当初の10%以上から11.5%以上にそれぞれ引き上げた。
これら数字は米国やベトナムなどで計画しているM&Aの影響は含んでおらず、さらに向上することが見込まれる。米国のコンビニ事業の買収がセブン&アイを大きく変えようとしている。
【セブン&アイ・ホールディングスの業績推移】単位:億円、2023年2月期は予想
【セブン&アイ・ホールディングスの売上高と営業利益の推移】
文:M&A Online編集部