取引金額が1000億円を超える大型M&Aは今年、いつ飛び出すのか? 2023年も第1四半期(1~3月)の最終盤を迎えたが、いまだに1000億円を上回るM&Aはゼロ。第1四半期としてこのままゼロに終われば、リーマンショック(2008年)後の過去15年間で初めてとなる。
目下、三井物産の700億円が最高
2023年のM&A件数(適時開示ベース)は216件(3月20日時点)で、前年を30件上回るハイペースで推移中。国内案件が好調を持続し、国境をまたぐ海外案件も復調傾向を示している。
しかし、取引金額は4488億円と前年の4分の1にとどまる。前年は1~3月で1000億円超の大型案件が5件(うち1件はソニーグループによる5000億円超の買収)を数えたのに対し、今年はここまでゼロ。目下、三井物産が給食大手のエームサービス(東京都港区)を約700億円で買収する案件が最も大きい。
M&A Online編集部は上場企業に義務づけられた適時開示情報のうち、経営権の異動を伴うM&Aについて集計し、データベース化している。それによると、集計を始めた2008年以降、取引金額1000億円超の大型M&Aは海外案件を中心に年間10件前後から20件前後で推移し、1~3月段階でゼロだった年は見当たらない。
1週間余り、駆け込みなるか?
もちろん、際どい年がなかったわけでない。2020年は3月25日まで待たなければならなかった。三菱商事と中部電力がオランダの総合エネルギー会社「エネコ」を約5000億円で買収したことを発表し、これが同年の1000億円超案件の第1号だった。
過去に3月まで発表日がずれ込んだ年はほかに、2009年(3月19日)、2011年(同7日)、2012年(同12日)がある。
2023年第1四半期も残すところ1週間余り。果たして、1000億円超の大型M&Aは駆け込みで出現するのだろうか。
文:M&A Online編集部