価格差による利益を狙う投資には、大きく分けて2つの戦略があります。1つは順張り、もう1つは逆張りです。この2つは株やFXだけではなく、暗号資産や不動産への投資でも用いられています。
投資家もそれぞれの性格や投資スタンスによって順張り派と逆張り派に分類されますが、そもそもこの順張りと逆張りとは何なのでしょうか。
本記事では逆張りに着目し、逆張りとはどんな投資戦術で、どんなメリットやデメリットがあるのか、さらに実際の投資に役立てるアイデアについて解説します。
逆張りとは?
逆張りとは、その時の相場に発生しているトレンドに逆行する投資戦略のことです。相場にトレンドが発生しているということは、多くの市場参加者がそのトレンドを意識した投資をしているわけですが、逆張りではそのトレンドとは逆の投資行動をとります。
上昇トレンドが続いている局面では、そのトレンドが終了して今度は下落トレンドに転じることを見越して売り目線で売買をします。逆に下落トレンドではトレンドが転換して上昇に転じるところを狙って買い目線での売買をします。
逆張りは投資の世界でよく用いられる専門用語ですが、実は私たちの生活にも逆張りといえる行動がいくつもあります。
例えばクリスマスが終わった翌日、12月26日は売れ残ったクリスマスケーキが破格値で売り出されます。もうクリスマスは終わっているのでイベントとしての意味はありませんが、消費期限内であればケーキの品質が変わってしまうわけではありません。
多くの人がクリスマスに食べるという行動をとるのに対してそれに逆行することで破格値のケーキを買うことも、日常生活における逆張りのひとつといえます。
逆張り投資のメリット
投資の世界に逆張り派がいるのは、次のようなメリットがあるからです。
勝率が高い
相場が同じ方向へ永久に進むことはありません。どこかでトレンドが終了し、やがてトレンドが転換する時がやってきます。逆張りはそれを狙う投資戦略なので、エントリーできる回数は少なくなりますが、確実性は高くなります。つまり、勝率が高くなります。
順張りよりも利幅を大きくしやすい
順張りはトレンドが発生していることを確認してから同じ方向にエントリーする投資戦略です。それに対して逆張りはトレンドの転換点を狙います。以下のチャートをご覧ください。
こちらは日経平均株価の日足チャートです。何度かトレンドが発生し、それが転換している様子が見て取れます。①の部分が逆張りで、②の部分が順張りです。同じ価格で利益確定をすると仮定すると、トレンドの転換を察知して①で買いからエントリーをしたほうが、トレンドの発生を確認してからエントリーする②の順張りよりも利幅が大きいことが分かります。
このように逆張りは相場の動きの大部分を利幅とすることができるため、成功すると利幅を大きくしやすいメリットがあります。
レンジ相場で高い有効性がある
レンジ相場とは、特定の価格帯で上下を繰り返す相場のことです。レンジ相場が継続している局面では高値と安値からの逆張りが機能しやすいため、逆張り派の得意な相場展開といえます。
先ほどの日経平均株価チャートを例にすると、25,600円付近の安値と28,000円台の高値でレンジ相場となっているため、この上下に矢印をつけた部分で逆張りのエントリーをすれば高い有効性を発揮できます。
逆張り投資のデメリット
メリットの次には、逆張り投資のデメリットやリスクについても解説します。
順張りよりもリスクが高い
逆張りは多くの市場参加者とは逆の方向でエントリーをする手法です。エントリーポイントを間違わなければ勝率は高いですが、思惑どおりにならなければ負けた時のダメージが大きくなります。
順張りは相場の向きや強さを確認してからエントリーするため、大きく負ける可能性は低くなりますが、逆張りを仕掛けたものの相場がトレンドを維持すると損失も大きくなるでしょう。
暴落している相場で安易に安値を拾いにいくことへの戒めとして「落ちるナイフはつかむな」という相場格言があります。落ちているからといって安易につかみに行くと大けがをするという意味です。「落ちるナイフ」をつかみにいくのは逆張りですが、短時間に大きな値動きが起きたからといって安易にトレードをするのは危険といえます。
「待ち」の局面が多くなる
逆張りはいつでもエントリーの機会があるわけではありません。「下げ止まり」や「上値いっぱい」を狙うことが多いため、安全にエントリーしようとすればするほどエントリーの機会は少なくなります。
だからといって安易にエントリーをするのは最も良くないので、「待ち」の局面が多くなるものだとあらかじめ認識しておきましょう。
逆張りを投資に役立てるアイデア 株式投資編
逆張りの投資戦略を、株式投資に役立てるアイデアを2つ紹介します。
不祥事、ネガティブなニュースで急落した銘柄の安値を拾う
不祥事やネガティブなニュースが流れたことを受けて、対象銘柄で株価が急落することがあります。しかしこれは一時的な値動きであることが多く、その急落を利用して下げ止まったところで逆張りの買いを入れるのもひとつの方法です。
ただし、不祥事やスキャンダルの内容によっては致命的なダメージになることもあるため、あくまでも短期的な下落で収まる程度の材料でのみ機能するアイデアです。
バリュー投資(割安株を物色)
株価が本来の実力を反映していない、過小評価されている時に購入し、本来の実力どおりの株価に戻る動きを利用して利益を狙う投資手法を、バリュー投資といいます。
割安感を知るための指標にはPERやPBRなどがありますが、それ以外にもチャートから得られる示唆によって割安感があると判断したら、そこからの逆張り戦略が有効です。
逆張りを投資に役立てるアイデア FX編
逆張り投資はFXでも再現性が高いので、次はFXでの投資アイデアを2つ紹介します。
短期的な急落、急騰後の調整を狙う
FXでは米国の雇用統計やFOMC(連邦公開市場委員会)で発表される内容や政策金利への反応度が高く、こうした経済指標で予想に反する発表があると相場が激しく反応し、行き過ぎた値動きになることがあります。
しかし行き過ぎた値動きはすぐに調整されるため、サプライズ的な発表の直後から大きく動いた相場では、調整狙いの逆張りが機能します。
オシレーターチャートや窓を活用して反発を狙う
FXはチャート分析の重要度が他の投資と比べるととても高く、チャートからの示唆で多くの投資家が売買をしています。チャートの中にはオシレーターといって、売られすぎや買われすぎを示すインジケーターがあります。
代表的なオシレーターチャートであるRSIは、70以上であれば買われすぎ、30以下であれば売られすぎとなります。つまり、RSIが70以上になれば売り、30以下になれば買いといった具合です。それ以上にRSIが極端な数値になるほど、逆張りの成功率が高くなります。
以下のドル円(USD/JPY)チャートでは、①の部分でRSIが80を超えています。それ以降相場は下落に転じているので、ここで売りエントリーをしていたら、大きな利益を取れていたことになります。
逆張りはトレンドの転換だけでなく、相場のわずかな反発や調整も狙える手法です。上昇トレンドの途中で押し目買いをしたり下落トレンドで戻り売りをしたりするのはいずれも逆張りで、短期売買においては高い再現性があります。
とはいえ、必ず成功するというものではありません。リスクの許容範囲内で、まずは小さくチャレンジすることから始めてみましょう。
(提供:Incomepress )
【オススメ記事 Incomepress】
・不動産投資にローンはどう活用する?支払いを楽にする借り方とは
・お金の貯め方・殖やし方6ステップとは?ごまかさずに考えたいお金の話
・日本人が苦手な借金。良い借金、悪い借金の違いとは?
・あなたは大丈夫?なぜかお金が貯まらない人の習慣と対策
・改めて認識しよう!都市としての東京圏のポテンシャル