中企庁、令和4年 中小企業実態基本調査を発表
中小企業庁は3月30日、「令和4年中小企業実態基本調査」(2021年度決算実績)の速報(要旨)を発表した。事業承継の意向について、社長(個人事業主を含む)の33.1%は「考えている」と答えたが、「現在の事業を継続するつもりはない」と廃業を視野に入れている割合も24.0%に上った。
3割が「事業承継を考えている」、4割が「まだ考えていない」
意向別の構成比トップは「今はまだ事業承継について考えていない」(41.3%)だった。事業承継を「考えている」うち、最も多かった承継先は「親族内」の25.6%で、「役員・従業員」は4.2%だった。第三者承継(M&A)にあたる外部へのバトンタッチは3.3%だった。
承継意欲が高い不動産業・物品賃貸業
産業別では、生活関連サービス業・娯楽業の39.8%、小売業の30.5%が「事業を継続するつもりはない」と回答。また、情報通信業は57.4%が「まだ考えていない」としており、何らかの承継先をイメージしている割合は25.8%と全産業の33.1%を下回った。
承継意欲が高かったのは不動産業・物品賃貸業で、「考えている」と答えたのは56.7%。うち51.1%を「親族内承継」が占めた。「事業を継続するつもりはない」は8.1%にとどまり、「まだ考えていない」も34.2%と比較的少なかった。
社長の在任期間、30年以上が最多
社長の年齢別構成比は「70歳代」が最多の27.0%で、「60歳代」(26.4%)、「50歳代」(22.7%)が続く。「80歳代以上」は7.8%と、「30歳代」の2.6%を大きく上回った。「60歳代」も「40歳代」(13.4%)の2倍で、60歳以上が全体の60%近くを占めている。
さらに、不動産業・物品賃貸業は「70歳代」が32.8%に増加。「80歳代以上」も15.5%に達しており、他産業より高齢化が進んでいる状況が承継意欲の高さにつながっているとみられる。一方、「まだ考えていない」の割合が多かった情報通信業は、60歳未満が57.4%となっている。
社長の在任期間は「30年以上」(30.5%)が最多で、「10年~20年未満」(26.2%)、「20年~30年未満」(18.8%)の順。就任経緯のトップは「創業者」(48.8%)で、「親族内での承継」も41.2%と高かった。
売上高、経常利益が回復
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて落ち込んでいた1企業当たりの売上高は、前年度比5.0%増の1億8,009万円に回復。経常利益も870万円と前年度比31.4%の大幅な伸びとなった、一方で、従業者数は9.2人(前年度比0.8%減)とマイナスに転じた。
2004年から毎年実施されている実態調査は、中小企業の財務・経営指標などを把握するのが目的。全国の中小企業から約11万社を無作為抽出し、うち4万5186社(有効回答率41.1%)を基に推計した。確報は7月下旬に公表される予定。
文:M&A Online編集部