吉野家ホールディングス<9861>傘下の牛丼チェーン店の吉野家は、太陽化学(三重県四日市市)、京都府立医科大学(京都市)と共同で「高機能牛丼」の研究開発に乗り出した。

吉野家の牛丼をベースに、健康機能を多く持つ水溶性食物繊維「グアーガム分解物」を含有する食品の研究開発を行い、サルコペニア(筋肉の量が減少していく老化現象)の抑制作用や、食後の血糖値や血中中性脂肪の上昇の抑制作用などを科学的に検証する。

吉野家ホールディングスは原材料や人件費の上昇する厳しい状況に、コロナ禍が重なり業績が悪化したことから、2020年以降の3年間で3件の子会社売却に踏み切り、牛丼事業に経営資源を集中してきた。高機能牛丼はこうした姿勢の表れともいえそうだ。

伝統の味で食生活を改善

吉野家はグアーガム分解物の研究を積み重ねてきた機能性原料メーカーの太陽化学と、京都府立医科大学大学院医学研究科の研究チームに加わる。外食企業が参画することで、消費者寄りの信頼できる高機能牛丼の実現を目指す。

すでに吉野家は栄養機能分野を専門とする研究者を外部から招き、素材開発部を設置し機能性表示食品や特定保健用食品の研究開発を進めている。

今回の共同研究には素材開発部のメンバーが参画し「伝統の味を守りながら食生活の改善に役立つ、美味しい商品を開発する」としている。

グアーガム分解物は天然グァー豆由来の水溶性食物繊維で、太陽化学と京都府立医科大学の共同研究によって糖代謝や脂質代謝の改善のほか筋肉や筋力を維持する効果などが明らかになりつつある。

3年で3社を売却

吉野家ホールディングスは2020年に「ステーキのどん」「どん亭」「フォルクス」などのレストランチェーンを手がけるアークミールを、焼肉レストランを運営する安楽亭<7562>に売却した。

翌年の2021年には持ち帰り寿司チェーンを主力とする京樽を回転すしチェーンのスシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIES<3563>に売却した。さらに2022年には「石焼ビビンバ」「鯛焼総家」などを展開するグリーンズプラネットオペレーションズを、飲食ブランド開発のフライドグリーントマトに売却した。

子会社売却にコロナ禍による来店客数の減少などが加わり、2021年2月期は50億円を超える営業赤字に転落したが、その後は回復傾向を示しており、2023年2月期は増収増益を見込んでいる。

【吉野家ホールディングスの業績推移】2023年2月期は予想

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)

文:M&A Online