例外を除きコロナ去っても不景気は続いている!?
(画像=「セブツー」より引用)

在宅勤務もまだ続いており、1週間に1度ぐらいは近くのスーパーへ食料品を買いに行く。笑い話のようだが、夕方に行くと野菜売り場の30〜35円のもやしが必ずなくなっている。超人気商品化している。料理のカサ増しには欠かせないのだ(笑)。最近は鳥インフルエンザの影響で、従来は10個で200円前後の玉子が300円近くになっている。「物価の優等生」と言われ続けたが、鳥インフルエンザの流行は今までにもあったことなのに、これほどまでに価格転嫁されたことはないので、これはかなり「便乗値上げ」の嫌いがあるのではないか。昨年2月24日のロシアのウクライナ侵攻以来、凄まじい勢いで物価高が進んでいる。一般庶民レベルでは、なんといっても優先順位1位の食料品、食糧品以上に電気代が凄い。久し振りに使用量の通知を見たら倍とはいかないが優に1.5倍にはハネ上がっていた。水道代、ガス代も同様。そして子供がいる家庭は教育費への支出も当然のことながら値上げされていることだろう。通信費しかり。

こうした状況では、衣料などに支出される金額はどんどん減らされているのは容易に想像がつく。最近発表された上場企業の決算や業績修正でもコロナ収束でトンネルを抜けた好調決算・上方修正はもちろんないわけではないが、「え?」「本当に厳しいなあ」というような内容が垣間見られるのだ。いくつか気になった例を拾ってみた。

■出前館(東証スタンダード上場)の8月決算の下方修正
・売上高:前回予想580億〜620億円→今回予想500億円(前年470億円)
・営業損益:同−210億円〜190億円→−170億円(前年−364億4200万円)
・純損益:未定→−169億5000万円(前年−362億1800万円)

売上高減少はアフターコロナにおけるフードデリバリー需要の落ち込みに加え、物価高騰による消費抑制のため。LINE(22.35%)、Zホールディングス(14.55%)が大株主のフードデリバリー会社だが、アフターコロナと物価高騰のダブルパンチでこの損益では事業存続に赤ランプであろう。浜田雅功が出ていたウルサイCMも見なくなった。

■マックハウス(東証スタンダード上場のチヨダ傘下のカジュアル衣料品チェーン)の2023年2月期
・売上高:184億4300万円(前年比+1.6%)
・営業損益:−7億2600万円(前年は−10億7800万円)
・最終損益:−10億600万円(前年は−13億900万円)

売上高は微増し、すべての利益部門が赤字幅を縮小したが、喜んではいられない7期連続の赤字決算だ。気温が高く秋冬物の立ち上がりが遅れ、在庫消化に伴う値下げ品の増加で粗利益率低下が原因といつも通りの理由を飽きもせず挙げている。これも存続が検討されているはずだ。

■キャンドゥ(東証スタンダード上場の100円ショップ)
コロナ禍で好調だった100円ショップの大手キャンドゥだったがコロナ収束で2月決算は、売上高931億5000万円(決算期変更に伴う15カ月決算)、営業利益5億3800万円(前年9億6400万円)、純損益−3億4300万円(前年1億9400万円)。

コロナ特需の反動、円安進行での商品原価の上昇、水道光熱費の増加、収益性の低下した店舗の減損処理などで純損失は赤字。今期についても純損失の赤字幅はさらに拡大し−7億300万円を見込むとしている。これも先々の展望が見えない状態だ。

■ライトオン(東証プライム上場のカジュアル衣料メーカー)
8月通期決算における最終赤字5億5000万円(前回予想1億5000万円の黒字)へ下方修正。理由はセール売り上げ比率の増加、商品仕入れコストや光熱費の上昇及び閉店店舗の減損処理。

そんな矢先「ユニクロ(UNIQLO)」「GU(ジーユー)」などを手掛けるファーストリテイリング(東証プライム上場)の2023年8月期の中間決算(2022年9月1日〜2023年2月28日)が4月13日に発表になった。これがまたとんでもない業績だった。
・売上収益:1兆4673億5000万円(前年同期比+20.4%)
・営業利益:2202億6300万円(同+16.4%)
・税引前四半期利益:2304億9900万円(同+8.4%)
・親会社の所有者に帰属する四半期利益:1533億9200万円(同+4.5%)

インフレ進行による衣料支出減、仕入れコスト高、光熱費高騰、高温による秋冬物売り上げの懸念など様々なマイナスファクターを完全に笑い飛ばすような決算で、「あなた方、しっかりして下さいよ」と言わんばかりの独り勝ち状態が続いている。しかしこういう例外企業をもとに全体を論じてはいけない。