米国のスタンフォード大学は2年ごとに米国を中心にサーチファンドの動向をまとめ、「サーチファンドスタディー」 としてホームページで公開している。最新の2022年版では、2020年と2021年の調査結果を知ることができる。

日本では後継者難企業の事業承継策の一つとしてサーチファンドに関心が集まっており、今後サーチファンドが増えそうな状況にある。サーチファンドの本場である米国の先進事例を盛り込んだ2022年版とはどのような内容なのか。

サーチャーの民族性にも言及

「サーチファンドスタディー」によると、2020年と2021年には、124のトラディショナル型サーチファンド (サーチャーが自らファンドを設立する)が立ち上がり、66件の買収が行われた。

買収の対象となった業界は、ソフトウエア、テクノロジー対応サービス、一般ビジネスサービスが多く、買収価格の中央値は1650万ドルだった。また、トラディショナル型サーチャーと買収された企業への投資は7億7600万ドルだった。

1986年以降の全サーチファンドの投資収益は、2020年の調査と比較するとわずかに上昇しており、税引き前の総利益は内部収益率(IRR=投資によって得られる見込みの利回り)にして35.3%で、投資収益率(ROI=投資に対して、どれだけの利益を上げられたかを示す指標) は5.2倍だった。

また、この2年で新たに4社が10倍を超えるROIを達成しており、ROIが10倍を超えるサーチファンドは合計で17となった 。

今回の調査ではサーチャーの民族性について初めて言及しており、今後の研究では多様性についてより多くのページを割く予定という。原文はこちら。

文:M&A Online